このような高級志向の複雑なダンパーは収益性を高める要素となるが、カヤバが力を入れているのはそういった領域だけではない。
ダンパーオイルも開発が進んでいる。カヤバが環境作動油と呼ぶ生分解性のあるダンパーオイルもエンジンオイル同様、粘度特性や潤滑性、耐熱性などの条件をクリアした上で、植物由来の原料によりカーボンニュートラルを実現し、リサイクル性にも優れたものへと仕上げている。
コンベンショナルなダンパーはリードタイムを早めて生産性を高めることで、コストダウンとクライアントからの発注へのスピーディーな対応が可能になる。クリーンルームで組み立てられる電子制御可変ダンパーは付加価値を高めて収益性を改善できる。
国内生産を強みとしていくには、製品と生産、両方の技術と品質で常に高次元を維持していかなくてはならない。中国からの撤退が続く製造業、とりわけ自動車産業で日本国内の生産量を増やすには、得意分野においても立ち止まらず、常に進化を続ける必要性がある。カヤバが実践しているのは、まさにそういうことであった。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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