クルマの乗り心地はもっと良くなる? カヤバのテストコースで感じた未来高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)

» 2024年07月06日 08時53分 公開
[高根英幸ITmedia]

 最近のクルマはおしなべて良くできている。燃費や乗り心地、ハンドリングなどは、極端に悪いクルマなどまず見られない。それだけ技術レベルが上がり、ノウハウが蓄積されてきたことの証しだ。

 だが、昨今のクルマは電動化や大型化で重くなるばかりだ。大型SUVなら2トン超えは当たり前、EVなら2.5トンを超えるものも出てきたくらいであるから、乗り心地や運動性能に影響する部品に対する要求は厳しくなるばかりである。

 しかし、日本のパーツサプライヤーは日々の努力を怠らない。昨年の話ではあるのだが、ダンパーメーカーのカヤバを取材してそんな印象を確信したので、ご報告したい。

山岳路を走行するトヨタ・カムリ。従来品のダンパーと、新開発のバルブを組み込んだ試作品を乗り比べた

 7年ぶりに訪れた工場の進歩ぶりも素晴らしいものだったが、やはり気になるのはダンパーの高性能ぶり。特に普通のクルマに使われるコンベンショナルな複筒式のダンパーが、新技術によってさらに上質な乗り味を獲得できると聞けば、がぜん興味が湧いてくるものだ。

 試乗はさまざまな路面を再現した直線路とアップダウンのある周回路によって行われた。そして筆者はトヨタ・カムリで従来品と試作品の乗り味の違いに衝撃を受けた。

 まるで普通のエコタイヤからプレミアムコンフォートタイヤに履き替えたのでは、と思わせるくらい乗り味が滑らかになったのだ。

 通常のダンパーとタイヤでは当然伝わってくる、アスファルト舗装の路面の粒度とタイヤのトレッドパターンによって発生するロードノイズが吸収されたのだろう。ノイズや振動が格段に減少しているのだ。これならプレミアムコンフォートタイヤの出番がないのではと思ったほどだ。

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