工場でレイアウト改善を実施したり工程設計で新レイアウト設計を行ったりしたときにはその出来栄えを評価してみよう。
(1)総運搬距離で評価(図表1)
その製品を一台生産する場合に部品などについてどれくらいの距離を運搬するのかを評価する方法。工程間運搬が発生する場合、製品一台当たりの運搬距離を積算して評価する。総運搬距離が短ければ短いほど良い評価となる。
(2)総運搬工数で評価(図表2)
上記(1)について距離の代わりに運搬工数で評価する方法。総運搬工数を当該製品の総加工工数で除して加工工数に対する運搬工数比率を求めて評価を行う。原則としてこの比率が小さければ小さいほど良い評価となる。
(3)工程分析で評価
これはとてもシンプルな方法である。いつも工場で実施している工程分析を行い、「運搬の数」で評価する方法である。運搬の数の認識はできるかもしれないが、運搬距離や運搬工数は情報として入れないと認識されないので注意が必要である。
工場ではものづくりの結果として物流が発生する。例えば、まとめづくりを行うことで在庫が発生し、その結果として在庫エリアや容器、管理などが発生する。工程設計で工程内の効率化しか考慮されていない場合、その結果として調達荷姿を置くスペースが確保されないことにより供給部品の詰め替え作業や工程間が離れている場合の運搬、それらに伴う物流工数などが発生する。
つまり、工場レイアウトやものづくりの方法などは、物流の発生要因となるという認識が重要であり、この要因をコントロールすることで物流を極力発生させないことを考えるべきだ。これらを考慮することで物流効率化につながることは間違いない。ぜひレイアウトとものづくりを工夫することで物流を効率化していこう。
運搬の発生を当たり前のことと考えるのは禁物だ。物流当事者は日々やっていることをムダと言われることには抵抗はあるかもしれない。でもムダはムダだ。運搬を仕事だと認識せずになくすべきものという発想でいこう。固定観念が改善の一番の敵であることを再認識したい。
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