では、どのように方向転換したのか。ヒントはこれまでの快活CLUBにあった。快活CLUBの利用シーンを見直したところ、「空いた時間をつぶす」「余暇時間にリラックスする」など「くつろぐ」ために使われていることが分かった。ここで大城氏はあることに気付いた。自分たちが「くつろぎたい」と思った際、立ち寄るのはどこか。快活CLUBを運営する会社の社員であるにもかかわらず、カフェを選んでいるのだ。
くつろぎたい時に選ばれるカフェと、選ばれないネットカフェの差はどこにあるのだろうか。同社は20人ほどの調査チームを結成。渋谷の出店地近くのカフェ5店舗に張り付き、時間帯ごとの来客数やお客が何をしているのか、細かく調査した。
調査の結果分かったのは、お客がカフェでやっていることと、快活CLUBでやっていることはほとんど変わらないということだった。不特定多数が集まるカフェよりも、完全個室がある快活CLUBの方がゆっくりできる環境は整っているはず。にもかかわらず、時間を過ごす場所として選ばれないのはなぜか? 大城氏は「入りやすさがない」という仮説を立てた。
これまでの快活CLUBといえば、ビビットなオレンジ色の看板に、「コミック・インターネット・テレワーク・飲み放題カフェ・鍵付完全個室」といった宣伝文句がずらっと書かれていた。こうした外観は一目で快活CLUBと分かる効果がある一方、その雰囲気に押されて入りにくく感じる“謎の圧”を出していた。また、店内も機能性が第一と考え、おしゃれさやデザイン性についてはあまり重視してこなかった。
運動嫌いが企画した「ソフトクリームが食べられるジム」の甘くない戦略
ネットカフェの天下統一! 快活CLUBが、倒産相次ぐ業界で“独り勝ち”したワケ
“スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
快活CLUBは、セブンのようになるかもしれない 親会社のAOKIを追い越す日Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング