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カンロ決算、「グミ」が「あめ」に初勝利 今後は顧客起点が戦略の“肝”に(2/2 ページ)

» 2024年07月30日 08時00分 公開
[大村果歩ITmedia]
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経営戦略の“要”は「顧客起点」 拡張・深化の2軸で仕掛ける

 同社は2024年の経営方針において、注力テーマの一つに「ブランド基軸経営と顧客起点」を掲げている。施策は顧客を拡げる「拡張」、顧客との関係を深めてLTVを向上し、競争力を高める「深化」の2軸で推進する。

CX 経営戦略の“要”は「顧客起点」 拡張・深化の2軸で仕掛ける(決算発表会資料より)

 「拡張」の取り組みでは、空想上の果実をグミで表現した「空想果実」シリーズにおいて、顧客と企業が双方向でコミュニケーションを取れる仕組み作りを目指していく。

 「空想果実」シリーズは、空想上の果実の味や食感をグミで表現した、消費者の好奇心を刺激する体験型商品として訴求している。2023年9月に第1弾「空想果実 キラスピカの実」、2024年4月に「空想果実 ウチャチャの実」を発売した。

 ブランドサイト、SNSなど各接点で“世界観”を意識した情報発信を意識。公式Xでは「空想果実ラボ」と称し、空想上の果実を探索・研究している様子を発信している。村田社長は「最終的には、ファンと(商品やグッズ)を共創するブランドに育てていきたい」とし、ユニークな世界観の商品で新規層の獲得を狙うだけでなく、共創をキーワードにブランドのファン育成も見込んでいるという。

CX 空想果実 キラスピカの実(公式Webサイトより)
CX 拡張・双方向コミュニケーションで商品の世界観に没入できる施策を実施(決算発表会資料より)

 「深化」の取り組みでは、顧客データや顧客の声(VOC)を活用し、顧客理解を深めていくための施策を強化する。

 現状同社では、カスタマーセンターでのVOC活用に加えて、複合型オウンドメディア「Kanro POCKeT」で購入情報や属性などの顧客情報を定量データとして蓄積。カスタマーセンターとオウンドメディア相互で連携し、商品・サービスの開発や改善、情報発信にデータを活用している。

 特にカスタマーセンターでは、VOC活用を推進する「CS向上委員会」を発足したり、週に2回VOCを抜粋し、全社員に配信する「声配信」を実施したり、さまざまな形でのVOC活用を推進してきた。

CX これまでもカスタマーセンターでのVOC活用を強化してきた(決算発表会資料より)

 これらの取り組みに加え、新たにファン限定のコミュニティサイト「Kanro POCKeT ×」をオープンし、ファンとのつながりをより強化することを目指す。

 ファンコミュニティサイトはすでに限られたファンに向けてプレオープン済みで、2024年1月に正式に公開予定だ。ファンとつながるデジタル上の接点としてKanro POCKeT ×」を活用する。

CX 深化・「Kanro POCKeT ×」という名称には、顧客とカンロがクロスすることで、新しい何かを想像したいという思いを込めた(決算発表会資料より)

 リアルの接点としては、2024年4月に東急プラザ原宿「ハラカド」に開業した情報発信プラットフォーム「KanroPOCKeT ラボ(カンロポケットラボ)」を活用する方針だ。同店舗ではこれまでに、イベントやキャンペーンと連動したフォトスポットの設置、ASMR動画撮影を体験できる特設ブースの提供など、コミュニケーションを重視した施策を展開してきた。

 「今後は、コミュニティサイトに登録している熱量の高い会員限定でアンケート調査を実施したりイベントを開催したり、ファンとのつながりを強化する。ファンの方の意見や声を商品やサービスに還元し、共創を目指していく」(村田哲也代表取締役社長)

CX 村田哲也代表取締役社長(提供:カンロ)
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