例えば、「コメダ珈琲店」は店舗によっては行列ができるところもあるが、客の多くはコーヒー目当てで来ているわけではない。ランチや名物「シロノワール」目当ての人もいれば、ゆったりとした席でおしゃべりをしたい人などだ。もちろん、世の中は広いので「コメダブレンドを飲むためなら30分待ちでも全然苦にならない」という人もいらっしゃるだろうが、多数派ではないだろう。
しかも、ハンドドリップやサイフォン式ではないカフェや喫茶店の場合、似たようなドリップマシーンやエスプレッソマシーンを導入している。コーヒー愛好家など「違いの分かる客」ではない場合、そのような業態の店では「味」や「こだわり」で差別化が難しいのだ。
誤解なきように断っておくが、カフェや喫茶店経営に対してもはやコーヒーの「味」や「こだわり」なんて関係ないなどと言っているわけではない。
そのような分野に特化して成功を収めるビジネススタイルももちろんあるし、以前よりコーヒーに関する情報が入手しやすくなったことで、これからますます成熟していく市場でもある。
先ほど紹介したような職人的なバリスタがいるスペシャルティコーヒーの専門店や、サザコーヒーのようなこだわりの高級豆を用いるような店は、まさしくそこを突き詰めていくのだろう。
ただ、それはそのようなプレーヤーが長年積み上げてきた努力によってつくられたカテゴリーでもあるし、そこで獲得した顧客だ。これから脱サラしてカフェや喫茶店にチャレンジしようというビギナーが軽い気持ちで入れる世界ではないので、身の丈に合った戦い方をすべきだと申し上げたいのだ。
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