なぜ、ローソンはジャイアントコロッケを発売したのか。
背景には消費者の生活防衛意識が高まってきていることがある。2023年にはさまざまな食品が値上げされたことで、消費者の「お手頃価格でお腹を満たしたい」というニーズが強まった。
2023年1月に発売したジャイアントコロッケは、4週間で売り切る計画を立てていたという。しかし、実際には1週間で売り切れた。フェア対象商品ではなく、通常の新商品でこれほどのスピードで売り切れるのは異例の事態だったいう。石塚氏は「正直、そこまでお客さまに支持していただけるとは思っていませんでした」と振り返る。
大きいシリーズの好調を受け、石塚氏は購入者の属性や、買い合わせの傾向を分析。より緻密なマーケティング戦略を立案していった。
購入者の属性を分析していくと、面白い傾向が見えてきた。
通常サイズのコロッケは50〜60代が主な購入層だ。この世代には「総菜の定番といえばコロッケ」という意識が強い。一方、20〜30代はお腹を満たすためにしっかりと肉を食べたいが、糖質は避けたいと考えているので、フライドチキンなどを選択する傾向があるという。
ジャイアントコロッケは20〜30代の男性に圧倒的な支持を受けている。しかも、リピート率も高いことが分かった。定番品ではない商品の場合、一度買ってもその後の購買につながらないケースが多い。手頃な価格でお腹を満たしたいというニーズに合致したのが原因のようだ。
ジャイアントコロッケは、昼の時間によく売れている。そして、一緒に購入されている商品としては、総菜パンや菓子パンが多いという。「ジャイアントコロッケを、大きなサイズのパンと一緒に買うというケースが目立ちます」と石塚氏は説明する。おにぎりよりも安くお腹を満たせる総菜パンは多い。20〜30代の男性が、大きなパンと大きなコロッケを昼食として購入しているシーンが想定される。ちなみに、夕夜間の時間帯はおにぎりと一緒に購入されるケースが多い。夕食のおかずや晩酌のお供として利用されているようだ。
ローソン、198円「大盛りカップ麺」が大ヒット “コンビニでは売れない”の思い込み打破 開発背景は?
生活防衛意識が高まり、セブンの149円「パン」が好調 背景に経済性を求める声Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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