インドでは全長4メートルで税率が変わるので、インド戦略車は、ほぼ例外なく全長4メートル以内のディメンジョンを持っている。当然フロンクスもその例に漏れない。基本数値は全長3995ミリ、全幅1765ミリ、全高1550ミリで、車両重量1070キロ(FFモデル)。最大出力は100ps/6000rpm、最大トルクは135.3N・m/4400rpm。コンパクトで軽量だ。
比較対象として、このクラスの売れ筋モデルであるヤリスクロスの数値も並べてみる。長4185ミリ、全幅1765ミリ、全高1580ミリ、車両重量1190キロ(FFモデル)。最大出力は91ps/5500rpm、最大トルクは120N・m/3800〜4800rpmだ。
両車を比較すると、フロンクスは全長でマイナス190ミリ、全幅は同一、全高でマイナス30ミリ、車両重量でマイナス120キロ、最大出力でプラス9ps、最大トルクでプラス15.3n・mとなっている。ボディサイズなどは大小どちらがアドバンテージになるかはユーザーによるかもしれないが、少なくとも明らかにフロンクスにアドバンテージがあるのは、立体駐車場の利用に制限がない車高と大幅に軽い車両重量だろう。
ちなみに日産キックスは1360キロ、ホンダ・ヴェゼルは1350キロ、マツダCX-3が1210キロ(全車カタログ掲載モデル中最軽量モデルにて比較)なので、ヤリスクロスの1190キロは決して重い方ではない。ストロングハイブリッドとマイルドハイブリッドの差はあるとしても、このクラスでの車両重量差、最小120キロ(対ヤリスクロス)、最大で290キロ(キックス)の差は競合メーカー各社に衝撃を与えているはずだ。
余談だが、スズキは日本仕様には装備満載状態の車両を入れており、本国インドの最重量車よりも重い。本国での最軽量モデルはなんと965キロである。価格はまだ発表されていないが、スズキのことなので戦略的価格を付けてくるだろう。同一装備の競合比で価格もリードするはずだ。
筆者にしては珍しくスペックの話から入ったのだが、一番言いたかったことは、その軽量ボディのアドバンテージである。スズキは7月11日に「技術戦略説明会」を開催し、スズキの行動理念として、「小・少・軽・短・美」を打ち出した。「小さく」「少なく」「軽く」「短く」「美しく」だ。長らく「どケチ」を売りにしてきたスズキがその本当の意味を公に発表した。それが口だけでないことが、今回、フロンクスのスペックによって明確に証明された形である。
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