ChatGPTの利活用を検討していくと、いくつかの課題が見えてきます。
これらを解決するために、レベル2ネットワークにある職員の端末からシームレスにChatGPTを使う方法を考えてみましょう。
総務省では「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改定作業が進められており、新たなネットワーク分離モデルとして「α’(アルファ・ダッシュ)型モデル」というものが検討されています。
これは、レベル2ネットワークから直接インターネット上の外部サービスを利用するために、いくつかの条件を満たした上で、その接続を認めていこうというものです。現時点で、満たすべき条件はいくつか挙げられていて、
(1)外部サービスとの間で安全な通信経路を保つこと。外部からの侵入を防ぐこと
(2)接続する外部サービスを限定すること
(3)外部からファイルをダウンロードする際には、無害化処理を行うこと
(4)接続する外部サービスは、ISMAP等の外部認証を受けたサービスとすること
となっています。
当社では、この条件の(1)から(3)までを満たす「サニタイザーAIゲートウェイ」という製品を開発しており、すでにいくつかの自治体に導入を進めています。外部サービスとの通信を中継するゲートウェイサーバと、専用ブラウザ、ファイル無害化エンジンで構成されています。これにより、職員が普段使用する端末でChatGPT専用のブラウザを起動しておき、ChatGPTをシームレスに使えるようになりました。
また、OpenAI社のWebサイトでは、ChatGPTなど自社のサービスについて、外部監査や認証を受けている旨を公開しています。ISMAPなど国内の認証ではありませんが、EUのGDPR、米カリフォルニア州のCCPAの認証を受けていることで、ひとまず信頼できる外部サービスと考えてよいのではないかと思います。
これらの対策を講じることで、α’モデルによる接続を通じてChatGPTをレベル2ネットワークと同等の安全性を持つものとして扱うことが可能となります。その結果、機密性レベル2までの情報をChatGPTで取り扱えるようになります。
さらにOpenAI社からの約款やプライバシーポリシーを見てみましょう。約款はいくつかありますが、業務で使用する場合に重要なのは次の2つです。
これらを簡単に表現すると「ChatGPTは自らのサービス改善のためにデータを利用することがある(利用者側でそれを拒否することはできる)。しかし、個人を特定する情報は利用者の同意なしには共有されない」と解釈することができます。
したがって、自治体でChatGPTを利用するのならば、
という組み合わせがよいのではないかと思います。
次回は、3番目の論点である「生成された文章に対する評価者側の問題:AIが生成した文章だからダメという理屈は通用するのか」について考えてみましょう。
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