なぜ「2リットル」だけを製造? ミネラルウオーターの“ドル箱”をあえて狙わない、小さな会社の独自戦略安曇野ミネラルウォーターの秘策(4/5 ページ)

» 2024年09月12日 08時00分 公開

新工場には「巨大アート」を設置

 新工場の目的は、単なる増産だけではない。日本市場の厳しい品質要求に応えつつ、従業員の働きやすさも追求している。自動化を進めることで、生産ラインの人員を増やすことなく生産能力を倍増させた。

 これにより、従業員は機械操作よりも品質管理により多くの時間を割けるようになるという。

photo 約50メートルの巨大アートを設置

 新工場には、高さ約8メートル×横幅3面合計で約50メートルの巨大アートを設置した。この独特な取り組みについて、新井氏は「働くスタッフたちが誇りを持てる環境づくりを追求した結果だ」と説明する。同アートは制作会社のOVER ALLs(オーバーオールズ、東京都)が描きあげ、安曇野の豊かな水資源、自然への敬意、水資源利用の責任などメッセージを込めた。

 「日本の工場は効率性を重視するあまり、働く人の心理面への配慮が不足しがち。このアートを通じて、従業員に仕事の意義を日々感じてもらいたい」(新井氏)

photo 制作会社のOVER ALLs(東京都)が制作を担当した

 新工場では従業員の休憩スペースにも力を入れた。「イノベーションルーム」と名付けられた空間は、リラックスできるだけでなく、従業員同士の交流を促す設計となっている。効率だけでなく、従業員の幸せを追求することが、結果的に会社の成長につながるという考えが背景にある。

 「家以外で一番長くいる場所が職場。その環境をより快適にすることで、従業員の創造性やモチベーション向上につながると考えた」

photo 従業員の創造性やモチベーション向上につなげる狙い

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