関わったメンバーにとって記憶に残るチャレンジになったようだが、結果として、世界記録の達成はどんなメリットをもたらしたのか。
「当初の目的であった『巻線機の技術を分かりやすく伝える』においては、十分に達成できたと思います。トクファストボットが最速でパズルキューブを解く動画はSNSで多くの方に閲覧いただき、国内外のメディアで報道されました。社内からも『メディアに取り上げてもらって嬉しい』『誇れる仕事をしているのだと自信がわいた』などの声がありました」(中上氏)
三菱電機の広報いわく、B2Bのビジネスモデルゆえ、これまでは業界専門媒体に取り上げられることが多かったという。一方で世界記録達成のニュースは、一般消費者向けとしてテレビなどの媒体でも紹介された。また、米国の中高生向けの科学雑誌からも取材のオファーがあったそうだ。
リーダーとして開発を牽引した徳井氏と、主に技術習得を目的に参加した若手の三浦氏、糸瀬氏にも本取り組みへの思いや得られたメリットを聞いた。
「チャレンジを通して世界をより良くするという夢への思いが強まり、そのために夢中になることの大切さを学びました。取り組みで得た技術力と経験を生かし、今後もワクワクするような挑戦を続け、日本や世界の人たちに社会課題を解決できるより良い当社製品を届けたいと思います」(コンポーネント製造技術センター モーター製造技術推進部 機械デバイス技術グループ 徳井氏)
「私はモーターとパズルキューブをつなぐ、ロボットの手や指に相当する樹脂部品の制作を担当しました。3Dデータを作成して3Dプリンターで部品をつくるのですが、最後の追い込みの時期の作業だったので、とにかく迅速な動きが求められました。
入社してまだ1年半ということもあり、ここまでスピードが要求されるプロジェクトは初めてで、いかに速く正確に部品をつくるかという観点で学びを得られましたね。また、参加を通して社内のいろいろな人に顔を覚えてもらい、コミュニケーションが取りやすくなりました」(コンポーネント製造技術センター モーター製造技術推進部 巻線・自動化技術グループ 三浦氏)
「私は比較的初期から参加していて、ロボットの目にあたるカメラを担当しました。通常業務においてカメラによる製品の仕上がり検査の自動化のプロジェクトに関わっていて、カメラを扱う技術を学ぶ目的で参加したんです。
結果的に普段の製造現場で使用するレベルをはるかに超越した細かい部分まで、カメラの使い方や照明の当て方を習得できました。また、参加を通して、今回の挑戦の成功は社内の誰かによって蓄積されてきた技術の賜物なのだと実感しました」(コンポーネント製造技術センター モーター製造技術推進部 評価システム開発グループ 糸瀬氏)
三菱電機では、今回の取り組みに触発されて「新たなチャレンジをしたい」と話している社員がいるという。現状、具体的に動いているプロジェクトはないそうだが、再びユニークな知らせが届くかもしれない。
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