エヌビディアとは対照的に、半導体産業の優等生として君臨してきたインテルはどうかというと、最近の状況はぱっとしない。
2024年4〜6月期決算は、最終損益が16億1000万ドルの赤字だった。さらに、8月1日には全社員の15%にあたる1万5000人を削減すると発表し、翌日の米国株式市場では同社の株価が26%急落。「インテル・ショック」ともいえる様相を呈した。
インテルの主要事業はPCやサーバ用のCPU(中央演算装置)である。特にPC向け事業は売り上げ全体の約半数を占める(2023年実績:図2)。インテルの不調の原因は、表向きはAIブームにおいてエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のGPUに後塵(こうじん)を拝したことにある。ただし本質的には、主力であるPC市場の需要の低下と、2021年からスタートした半導体のファウンドリ(受託製造)事業の不調が背景にある。
ファウンドリ事業は、台湾TSMCや韓国サムスン電子などに対抗するサービスとして、インテルの戦略上の要である。巨額の先行投資を要するとはいえ、同事業の2023年の営業損益は約70億米ドル(約1兆150億円)の赤字だった。
また、事業成功の要となる大型顧客の獲得においても、AWSとの戦略的提携を発表した一方で、ソフトバンクとの交渉が決裂したと報道されるなど、一進一退の状況である。
9月16日には、同事業をインテル内部の独立した子会社とし、米国外での工場新設を延期すると発表した。主力のCPU事業への財務面での影響を排除しながら、米国CHIPS法にもとづく85億ドルの補助金の獲得を確実にしようという意図が伺える。
「2030年までに世界第2位のファウンドリになる」(パット・ゲルシンガーCEO)というビジョンの実現に向けて、乗り越えるべき壁は多そうだ。
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