日本政府観光局によると、7月の訪日外客数の推計値は約329万人と5カ月連続で300万人を超え、コロナ禍以前の2019年の実績を超える高水準を維持している。
一方で、全国の地方自治体でインバウンド業務に携わる職員は、さまざまな悩みや課題を抱えているようだ。JTBコミュニケーションデザイン(東京都港区)が調査した。
調査は、東京・大阪・名古屋の3大都市圏の自治体職員206人、3大都市圏以外の309人の計515人から回答を得た。
インバウンド施策を「実施している」のは74.0%だった。都市圏以外では76.7%と、都市圏よりも2ポイントほど高かった。
具体的な施策の内容は「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」が最も多く51.0%。「地域の観光パンフレットやガイドブックの制作・配布」「外国語対応のWebサイトや観光案内所の設置」などが都市圏、都市圏以外ともに多かった。
効果があった施策として最も多かったのは「外国語対応のWebサイトや観光案内所の設置」で75.5%。「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」「外国人旅行者向けのキャンペーンや割引サービスの提供」が続いた。
インバウンド旅行者にアピールする観光スポットは「歴史的な名所や史跡」が最も多く、都市圏で37.9%、都市圏以外で46.6%だった。都市圏ではその次に「街並みや商店街」が36.9%で続いた。都市圏以外では「イベント・祭り」が40.1%で上位となった他、「温泉・銭湯などリラックスできる施設」「海や川などの自然」が、都市圏よりもそれぞれ10ポイント以上高かった。
インバウンド施策を実施する上で、自治体職員はどのようなことに課題を感じているのか。最も多かったのは、都市圏、都市圏以外ともに「地域のインフラ整備や交通アクセスの改善」で28.2%に上った。
その他「インバウンド旅行者の増加とそれを受け入れる体制のバランス」「費用対効果(プロモーションや施策に対する効果)が分からない」が続いた。これらの項目は、特に都市圏以外の自治体が課題として認識している割合が高い傾向がみられた。
近年はオーバーツーリズムの問題も指摘され、多くの自治体が課題と認識している様子がうかがえる。同社は「これらの課題への対策は、訪日外国人旅行者だけでなく地域住民の安全や日常生活を守るという観点からも改善が必須」とコメントしている。
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