刀剣乱舞が人気を博す中で、ゲームに登場する刀剣にゆかりのある自治体は、その人気を地域活性化に利用している。岡山県瀬戸内市(旧長船町)では、国宝「太刀 無銘一文字(山鳥毛)」を購入するために、クラウドファンディングで約1億5000万円を集めた。
この刀剣を展示するだけでなく、刀剣乱舞とのコラボレーションを行い、ラッピングタクシーの運行や限定グッズの販売、ふるさと納税の返礼品として山鳥毛のレプリカレターナイフを提供するなど、地域振興に最大限活用している。その結果、山鳥毛の展示による経済波及効果は年間約5億円と試算されている。
小倉城(福岡県北九州市)でも刀剣乱舞とのコラボイベントを開催し、多くのファンが訪れた。小倉城は2023年度の目標である入場者25万人を達成しており、この記録は25万人超は63年ぶりの水準となっていうる。刀剣乱舞コラボで縁のある刀剣の展示やスタンプラリーなど、多角的なイベントを企画し、地域の観光資源として成功を収めたことも大きく貢献しているだろう。
足利市では2017年、同市立美術館で「山姥切国広」を所有者と交渉して初展示したところ、刀剣女子をはじめとするファンを全国から3万8000人集めた。
2022年の再展示でも新型コロナウイルス禍の入場制限にかかわらず、2万5000人のファンが足利に詰めかけた。産経新聞の報道によると、展示期間中の経済効果は2回で計約9億円近くに上るという。同市は歴史と文化資源を軸に観光振興を図る観点から、新たな資源として「山姥切国広」を個人所有者から取得しようと動いている。
これらの事例から、自治体にとって刀剣乱舞は地域活性化の重要なパートナーとなっているといえる。
自治体が刀剣乱舞の継続を強く望む背景には、明確な経済効果と地域ブランドの向上がある。ゲーム内に登場する刀剣を所蔵する自治体や、その刀剣にゆかりのある地域では、ファンによる「聖地巡礼」が観光の重要な要素となっている。
特に、高額な投資を行い刀剣を購入した自治体にとって、ゲームの継続は投資の正当性を保つ上で不可欠である。サービスが終了すれば、これらの取り組みが無に帰す可能性があるため、自治体が「終わってほしくない」と強く望むのは当然のことである。
シヤチハタが「釣り具」に「ペット用品」? “脱ハンコ”商品ぞくぞく、背景に危機感
なぜ、キットカットは日本だけ「40種類」もあるのか? 爆買いされるのに「外国人ウケ」は決して狙わないワケ
日本の「知育菓子」外国人になぜ人気? 「3倍の値段」でも売れるワケ
「日本の決済手段はバラバラすぎた」 Visa日本法人社長が語る“世界標準化”への野望
インバウンド殺到の渋谷ドンキ 「月に1億円」売れるお菓子とは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング