丸井グループは、有価証券報告書において非財務情報だけではなくアウトカムとしての財務価値まで言及している。「このくらいの財務価値を期待して、このKPIを設定しているんだ」というメッセージが感じられる開示になっており、非常に踏み込んだ開示姿勢ががうかがえる。
人的資本投資の投資額の内訳を示しているのも、同社の特徴的なところだろう。下図のようにSTEP1〜3に分け、何にどのくらい投資しているのかを開示している。
さらに「いつ、どのくらいの投資をすると、いつ、どのくらいのリターンが返ってくる」という計画も開示している。あくまでも見込みのリターンであり、その成否はこれから明らかになるところだが、資本市場に対するメッセージという意味では非常に効果的な取り組みだといえる。真摯に投資家に向き合おうとする同社の姿勢が感じられる。
同社はどちらかといえば、商業施設を展開するビジネスで知られる企業だ。店舗や設備など有形投資が中心になりそうなビジネスにおいて、同社は人的資本経営という無形投資に力を入れている。これは、「有形投資より無形投資のほうが大きなリターンが得られる」という同社なりの人的資本経営の言い換えだといえる。
また、同社の有価証券報告書では、2ページにわたって「人的資本経営に関する指標」を詳細に開示している。10領域・延べ46項目を過去4年の推移とともに開示しており、量的側面からも非常に優れた開示事例だといえる。
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人的資本開示の「ポエム化」は危険 投資家に本当に“響く”情報とはCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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