土肥: 私のような外の人間と、シヤチハタの中で働く人の間で、ちょっと感覚が違うのかもしれませんね。「自分たちは、本業からものすごく離れたモノを開発するんだ」という意識はなかったのでしょうか?
南田: これまでとは違った商品をつくる、という意味では「あえて遠くのモノを狙っていく」といった意識はあるのですが、技術的には「それほど遠くはない」と受け止めていたんですよね。どういうことかというと……。
ここで、シヤチハタ広報のMさんが登場する。
Mさん: すみません、少し横から失礼します。シヤチハタが尿ハネを可視化する商品を開発したことに驚きを感じられたかもしれませんが、当社はこれまでにもさまざまなモノを世に出してきました。例えば、「stamkey(スタンキー)」。スタンプにQRコードを施していまして、それを読み込むと、会社や個人のWebサイトに誘導できるというモノでした。
スタンキーを発売したのは、2004年のことでして。スマホはまだ発売されていないし、いまほどQRコードは普及していません。こうした状況を踏まえると、商品化が時期尚早だったんですよね。残念ながら、終売しました。
また、「テゼット」という商品も開発しました。特徴は、ボールペンに電卓が付いていること。小さなボタンが付いていて、それを押すと計算できるんですよね。電子手帳を搭載しているモデルもありましたが、これも発売したタイミングがちょっと早過ぎたのかもしれません。1980年代の後半に登場したので、まだノートPCを持ち歩いている人がほとんどいない時代でした。残念ながら、こちらも終売しました。
土肥: ふむふむ。確かにシヤチハタのこれまでの商品を見ると、「ん? これなに?」と感じられるアイテムがありますよね。ということは、今回の商品を開発したことは、社内の人間からすると「また、なにか新しいモノをつくっているよね」といった感覚なのでしょうか?
Mさん: ですね。文具の商品があって、サニタリーの商品がある。ものすごい距離を感じられたかもしれませんが、これまで「その間に」たくさんの商品を出してきました。試しにつくったものの、残念ながら世に出ないモノもたくさんありました。こうした背景があるので、社内では「いきなり突拍子がないモノがでてきた」といった感覚はないですね。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
「ポン!」の音が消えた 脱ハンコが広がって、シヤチハタはどんな手を打ったのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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