土肥: ミエルモの商品ページを見ると、このようなことが書かれています。青色の着色剤と、消色剤が入った2つのボトルが連結されていて、トリガーを引くと2つの液体が混ざって噴霧する。
この混合液が尿ハネがないところに付くと、着色剤が消色剤に打ち消されて透明になる。逆に、尿ハネがあるところに付くと、消色剤が尿の成分に反応することで、着色剤の青色が消えなくなる。消色剤には洗浄成分が含まれているので、そのまま拭き取り掃除ができるというわけですね。面白いメカニズムだと思うのですが、開発にあたって大変だったところはどこになりますか?
南田: 着色剤は強い色素でなければいけませんが、消色剤と混ざったときはすみやかに消えなければいけません。開発の際、着色剤と消色剤をマッチングさせるわけですが、この組み合わせにものすごく時間がかかりました。もちろん、普段インキの開発を担当しているので、そこらへんの知見はあるのですが、最後はやってみないと分からないことが多いんですよね。
青色の着色剤ひとつとっても、たくさんの種類がある。似たような色でもさまざまな種類がありますし、性能も微妙に違う。消色剤と混ぜても、着色剤が消えないこともあれば、逆にすぐに消えることもあれば。1時間後に消えることもあれば、1〜2秒で消えることも。理想は「10秒後に消える」でしたので、相性のよい2つを見つけ出すのに、ものすごく時間がかかりました。
土肥: どのくらいの期間でしょうか?
南田: 1年半ほどですね。同じことを何度も何度も繰り返して、それでもなかなかうまくいかない。そんな日々が続いたので、何度もくじけそうになりました。そうしたときにどのようにして乗り越えたのか。ちょっと青臭い表現になりますが、仲間の声ですね。僕がくじけそうになったときには、仲間のメンバーに励まされて。仲間がくじけそうになったときには、僕が声をかけて。
繰り返しになりますが、何度も何度も、着色剤と消色剤を組み合わせました。……えっ、マッチングの回数ですか? 1000回かな、いや2000回は超えているかも。ちょっと分からないほど組み合わせて、なんとか完成させました。
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