おかしなことはまだ続く。船井電機に経営放棄されたミュゼプラチナムは、先ほど登場した「ミュゼプラチナシステムズ合同会社」を経て、「MIT」と社名変更するなど複雑な動きを見せている。報道によると、周辺にはクーポン販売事業者や貸金業者など、脱毛エステとは関係のないプレーヤーたちの姿が見られるという。
このような不可解な状況を見ていると、確かに『FACTA』が指摘するように、何者かがミュゼプラチナムを用いて船井電機の資産を「侵食」しているように見えなくもない。気になるのは、船井電機幹部も侵食が事実であると認めるかのような発言をしていることだ。
社員向けの破産説明会で、幹部がこう述べたという。
「いろんな人が会社のお金を抜く行為も起こっていた。それは止めるべきで、伝統ある会社をぐちゃぐちゃなまま閉めてはいけない」(朝日新聞 10月26日)
この言葉からも分かるように、船井電機破産は「本業」が傾いていたこともあるが、トドメを刺したのは「外部への資産流出」である可能性が高い。東京商工リサーチの「TSR情報全国版」(2024年10月30日号)でも、ミュゼプラチナムへの資金支援などによる多額の資金流出も大きかったようだ、という分析を掲載している。
では、現場で働く社員たちに、会社がそのようなおかしな道に進んでいることを察知して「逃げる」決断をすることは可能だったのか。
いろいろな意見があるだろうが、船井電機社員の場合、以下の3つの決断ポイントがあった。
(1)2023年4月、ミュゼプラチナム完全子会社化
(2)2024年3月、ミュゼプラチナム売却
(3)2024年8月、『FACTA』報道
まず、(1)は「ミュゼ転がし」が注目されたから言っているわけではない。買収当時から不審なにおいがプンプン漂っていた。
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