例えば、もともとミュゼプラチナムはかつて『Foresight』(フォーサイト、新潮社)という情報誌で医師法違反疑惑や前受金商法の問題点や経営危機が指摘され、実際にその後、経営破綻している。
さらに、2016年には広告事業やシステム開発を手掛ける「RVH」(東京都港区)が「株式交換」という形でキャッシュを使わない形で完全子会社化。しかし、2020年には売上高や契約獲得が鈍化しているとして、「たかの友梨ビューティクリニック」創業者として知られる高野友梨社長が経営する「G.Pホールディング」に21億円で譲渡された。
ちなみに脱毛サロン業界は厳しく、2023年12月には「銀座カラー」も運営会社が倒産。返金を求める人が殺到するなど、消費者トラブルが絶えないことでも知られている。
このようにさまざまな問題が指摘され、経営権も転々としてきたミュゼプラチナムが、明らかに不自然な形で子会社になって、わずか1年でこれまたよく分からない経緯で離れたのである。「うちの会社、何かヤバいことに巻き込まれたんじゃないの?」と心配した人もかなりいたはずだ。
そして、この段階でもまだ何も危機感を抱いていなかった人でも、(3)の「2024年8月、『FACTA』報道」はさすがに事の深刻さを痛感したはずだ。
船井電機は2024年3月から4月にかけて取締役9人のうち3人が途中辞任して、2023年6月に会長に就任したパナソニック出身の柴田雅久氏も代表権が外れてしまった。そして5月7日付、外部から一挙5人が取締役に加わった。本業とはあまり関係のない貸金業関係者などである。
この時点では一般社員は「なんか知らない人が役員になったな」くらいに思っていたかもしれないが、8月21日に発行された『FACTA』を読んで青ざめたはずだ。
先ほども紹介したように、ここに掲載された記事では「ミュゼ転がし」による資産切り売りの経緯や、新たに加わった役員もそこに関与したのではないかという疑惑が指摘されていたからだ。
経営に興味のない一般社員であっても、さすがに「うちの会社で何かヤバいことが進行している」と察知したのではないか。
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