ただ、この時点で「逃げよう」と思っても時既に遅しかもしれない。人によってそれぞれだが、転職エージェントなどを活用しても、転職活動を始めてから内定を得るまでは平均で2〜3カ月といわれる。
つまり、『FACTA』を読んで転職を決意した船井電機社員の多くは、10月24日に会社に「即時解雇」を言い渡されてしまった可能性が高いのだ。
今回の「悲劇」からビジネスパーソンが学ぶべきは、自分の勤める会社の危なさを見極めるポイントは「本業」だけではないということだ。
特に船井電機のように既存のビジネスモデルが斜陽となってきた場合、どうしても新たな成長エンジンを見つけようと、M&Aや業務提携で異業種進出などをチャレンジする。もちろん、それ自体は悪いことではないが、そういう時に近づいてくる者たちが「善意の人」とは限らない。
特に「M&A」に関しては「事業再生」を掲げて入り込んで、言葉巧みに優良資産を手に入れたり、カネを巻き上げたりするという被害も報告されている。
自分の業務以外にはなかなか関心が持てないだろうが、「逃げ遅れ社員」にならないためには、自分の会社が「ヤバいM&A」をしていないのか、目を光らせておいたほうが良さそうだ。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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