第3に、答えを教えるべきなのに優越感に浸りたいパターンだ。このパターンが厄介である。
「お客さまから財務分析をしてくれと言われました。資料作成についていろいろと教えてください」
部下からこのような相談を受けたとしよう。しかしマウントをとりたい上司は、こう尋ねるのだ。
「お前はどうしたい?」
と。部下が財務分析に関してそれなりの知識、経験があるのならこのように考えを促してもいいだろう。しかしもし前提知識や経験が足りない場合は、考えようがない。
「どうしたい? と聞かれても、まったく経験がないんで」
「あれ? 社内研修で習っただろ?」
「研修で習いましたけど、基本的なことしか教わってません」
仮説も立てられないような部下であれば、答えを教えてあげるべきだ。
「まず直近3期の財務諸表を準備してくれ。そして企業の状況を把握したあと、安全性分析から始めるか、それとも収益性分析や生産性分析でいくか決めよう」
このように助言すれば、
「分かりました。まずは財務諸表を準備します」
と部下は答えられる。さすが上司だ、明確なアドバイスをもらえた、とホッとするだろう。反対に、
「お前はどうしたい、と俺は聞いてるんだ」
と言い続けたら、どうか。部下の安心安全の欲求は満たされない。一歩間違えれば「ハラスメント」と受け止められる可能性もある。
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