「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/6 ページ)

» 2024年11月13日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

優越感に浸りたいだけ?

 第3に、答えを教えるべきなのに優越感に浸りたいパターンだ。このパターンが厄介である。

 「お客さまから財務分析をしてくれと言われました。資料作成についていろいろと教えてください」

 部下からこのような相談を受けたとしよう。しかしマウントをとりたい上司は、こう尋ねるのだ。

 「お前はどうしたい?」

 と。部下が財務分析に関してそれなりの知識、経験があるのならこのように考えを促してもいいだろう。しかしもし前提知識や経験が足りない場合は、考えようがない。

 「どうしたい? と聞かれても、まったく経験がないんで」

 「あれ? 社内研修で習っただろ?」

 「研修で習いましたけど、基本的なことしか教わってません」

明確なアドバイスが欲しいケースもある

 仮説も立てられないような部下であれば、答えを教えてあげるべきだ。

 「まず直近3期の財務諸表を準備してくれ。そして企業の状況を把握したあと、安全性分析から始めるか、それとも収益性分析や生産性分析でいくか決めよう」

 このように助言すれば、

 「分かりました。まずは財務諸表を準備します」

 と部下は答えられる。さすが上司だ、明確なアドバイスをもらえた、とホッとするだろう。反対に、

 「お前はどうしたい、と俺は聞いてるんだ」

 と言い続けたら、どうか。部下の安心安全の欲求は満たされない。一歩間違えれば「ハラスメント」と受け止められる可能性もある。

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