あの企業の20代エース社員にも「新卒1年目」の頃があった。挑戦、挫折、努力、苦悩――さまざまな経験を乗り越えて、今の姿がある。企業に新たな風を吹き込み、ビジネスの未来を切り開く20代エース社員の「仕事」に迫る。
「事業計画書を5回出し直して、やっと仮合格をもらえました」──グローバルミングルカンパニー カンパニー社長の近藤由彩さん(28)はカンパニー設立時をこう振り返った。
同社は海外デジタルマーケティング支援を行う組織で、デジタルマーケターとネイティブ人材によるチームを編成し、戦略策定から販売促進・集客などの施策運用、分析、改善までを伴走する。
グローバルミングルカンパニーは2024年4月、メンバーズ社の専門組織として誕生した。メンバーズが2018年に開始した「社長公募制度」がきっかけだ。社内の専門組織という位置付けだが、社長には事業運営から採用まで会社経営とほぼ同様の権限が委譲されている。
近藤さんが初めて社長公募制度に挑戦したのは2022年12月、新卒2年目の年だった。初回は落選したが、翌年に再度挑戦。メンバーズでの業務と並行して、事業計画案を5回出し直し、事業化に向けたリード獲得に奔走。グローバルミングルカンパニー設立に至った。
幼少期から「社長になりたい」と思っていたという近藤さん。その夢を実現した道のりの、苦労と努力を取材した。
近藤さんは2020年、メンバーズに新卒で入社した。まずはディレクター職としてクライアントのウェブサイト運用をメインで担当していたが、2年目の途中からマネジメントの経験を積むために新規案件の獲得やプロジェクト進行を任される営業職も兼務することになった。
「当時から上司に、いつか社長公募も出したいし、将来的なキャリアとしてマネジメント職に就きたいという話はしていました。そこでマネジメントを経験するにはどうすべきか、上司が考えてくれて、営業職も兼務することになりました」
さまざまな業務を経験し、2年目の冬に社長公募制度に応募した。カンパニー設立までの流れは、事務局が提出された事業計画書を審査し、通過したら執行役員へのプレゼンを経て、合否が決まる。事業化までの期間は約半年ほどで、年1〜2回の不定期募集で実施している。
近藤さんは「グローバルアウトソーシング事業」を提案。海外のフリーランスエンジニアと、開発コストを下げたい企業の間にメンバーズが入り、エンジニアのマネジメントから納品までを支援するという事業だが、結果は書類落ちだった。
「メンバーズは『価値提供』にすごく重きをおいているのですが、『グローバルアウトソーシング事業を通して、メンバーズがどのような価値提供ができるのか』という問いに答えられなかったんですよね。PLも提出するのですが、それも割とぐちゃぐちゃ。箸にも棒にもかからないという感じでした」
コロナ禍入社の新卒2年目でフルリモートだったため、事業について社内に相談できる人も多くなかったという。「これだと次には進めない」と経営陣からフィードバックされたが、近藤さんは「特に傷つくとかもなく、納得していました」と話す。
「フィードバックの内容が『あなたにはマネジメントは向いていない』とかであれば折れていたかもしれませんが、事業計画において私の考えが足りていないという指摘だったので、じゃあ足らせばいいだろうと捉えました」
通常業務を遂行しながら、初回提案やフィードバックを踏まえた新しい事業案を練る日々が始まった。近藤さんは「私の人生のチャレンジだと思っていたので、通常業務とは別の思考で取り組んでいた」と話す。終業後に自身の事業のことを考える日々だったが、苦ではなかったという。
そこから1年後、2023年1月に再度挑戦の機会が訪れた。
LINEヤフー動画事業の27歳エース社員 「アプリDL数」前年同期比3倍を実現、その手腕は?
日立の29歳エース社員が考える「製造業の未来」 タイ赴任で見えた、自身の役割とは
新卒2年目でMVP 楽天エース社員の「売上、営業とのコネも少なかった」中での奮闘記
富士通の27歳エース社員、1年目で花形部署に異例のヘッドハント 信条は「3カ月で成果出す」
人材大手の内定辞退し、カレー店運営ベンチャーに入社 COOの離職で一皮むけた26歳のキャリアCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング