ここまでの話だけではAIの有害性が際立つが、もちろん有用な使い方もある。
例えば、科学雑誌Natureに2024年2月に投稿された論文「Loneliness and suicide mitigation for students using GPT3-enabled chatbots」では、character.aiと類似のAIキャラクターとのチャットサービスを1カ月以上使用していた1006人の学生に調査した結果、多くの参加者がAIキャラクターとのやりとりに肯定的で、うち30人からは「自殺の防止につながった」という回答があった。
一方で否定的な回答の中には、「AIキャラクターに依存しているように感じる」という回答があり、自殺した少年のケースと同様に、AIキャラクターとのやりとりにおける倫理的配慮と、利用者とAIキャラクターとの適切な距離感の重要性を示している。
この事件を受け、Character Technologiesは安全性向上に向けた施策の実施に着手している。同社のブログによると、サービスの安全性を強化する機能を導入する予定だという。
具体的には、以下の安全対策を表明している。
今回Character Technologiesが実施する施策が十分であるかはまだ分からない。今後も生成AIの技術が進化を続け、AIキャラクターが企業のマーケティング活動などで活躍することで、幅広い年齢層のユーザーがAIキャラクターと会話することが予想される。
幅広い利用者が安全に利用するためにも、AIキャラクターを提供するチャットサービスの安全性への取り組みはより一層求められる。
character.aiのように、技術的な側面からAIキャラクターへの過度な依存を防ぐ施策が重要である一方、根本的にAI中毒の心理的メカニズムを明らかにすることも重要である。
ただし、心理的なメカニズムを明らかにするには時間を要する上、技術的な対策だけでは解決しない可能性もある。
SNSを利用する上でも、長時間利用しすぎないなどSNSを適切に利用するリテラシーが利用者に求められている。
AIも同様に、利用者は単にサービス提供者に安全対策を求めるだけではなく、AIを適切に利用するリテラシーを身に着けることが自分自身や子どもを守る上で重要となる。
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