新疆ウイグル自治区の綿花は、質の高い綿花として世界的に評価されている一方で、西側諸国からは「中国政府の人権侵害の象徴」として受け取られている。
新疆ウイグル自治区で暮らす人々が、綿花畑や工場で強制労働をさせられるなど人権侵害されているのではないか――。このことは、ずいぶん前から西側メディアを中心に報道されており、国際社会で批判の声が強まっている。2022年10月には、国連で日米英仏を含む50カ国が共同声明を出している。
もちろん、中国側はこれを西側諸国の「デマ」として全否定。この声明に対抗する形で、中国寄りのキューバなど66カ国が「人権を口実に内政干渉している」と共同声明を出している。
つまり、「新疆ウイグル自治区の綿花」は、西側諸国と中国の間で、バチバチの情報戦が現在進行形で繰り広げられている炎上確実の政治テーマなのだ。だから当然、中国でビジネスをしているグローバル企業は、この問題についての言及を避けてきた。
それはユニクロも然りで、柳井会長も国内外のメディアから「ユニクロは新疆ウイグル自治区の綿花を使っているのか?」と質問されても、「政治問題なのでノーコメント」と煙に巻いてきた。
それがどういうわけか、このタイミングで「新疆ウイグル自治区の綿花は使っていません宣言」を全世界に発表したのだ。中国人の怒りが爆発するのは分かりきっていたのに、あえてそこに踏み込んだのである。
この柳井会長の不可解な心変わりについて、ネットやSNSではさまざまな見解が飛び交っている。専門家の見立てとしては「言うつもりはなかったけれど、つい口を滑らせてしまった」というのが多い。
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