給与に関する交渉には、次の3つの落とし穴がある。上司はもちろんのこと、交渉する側も注意したほうがいいだろう。
繰り返すが、比較形容詞を使った「安い」という曖昧な表現は避けよう。できるだけ具体的な数字で話し合うことが大切だ。
曖昧な表現を使い続ける限り、認識のズレがなくならず感情的になっていまう危険性もある。
「給料が安いといわれても、そんなことないだろう。会社だって努力してるよ」
「安いから安いって言ってるんですよ。何が悪いんですか!」
「落ち着け。安い、安い、って言うな」
「他のみんなも言ってますよ。こんなに給料の安い会社なんて、他にないって」
「なんだとォ!」
感情的な要求は冷静な判断を妨げる。上司も、人事部など第三者を交えて話し合うことも考えよう。また、感情的になると
「こんなに給料の安い会社なんて他にないですよ!」
と言った根拠のない比較を持ち出すケースもある。こうなると上司と部下との関係も壊れかねない。
心理学者ハーズバーグの二要因理論を引いて考えてみよう。この理論では、仕事の満足度は「動機付け要因」と「衛生要因」の2つの要因で決まるとしている。動機付け要因は満足感を生み、衛生要因は不満を防ぐ役割を果たす。給与などは「衛生要因」である。
つまり、給与は「満たされても満足はしない」のだが、「満たされないと不満を覚える」要因だということだ。「動機付け要因」とは逆の働きをする。衛星要因は本人にとってとても重要なので、頭ごなしに説得するのはよそう。たとえ本人の主張に正当性が欠けていても、丁寧な対応が必要だ。
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