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Amazon創業者がPerplexity幹部にした助言 “生成AI戦争”で重視すべき指標とは?(1/2 ページ)

» 2024年12月17日 08時00分 公開

 生成AIを活用したAIチャットボット型の検索エンジン「Perplexity」(パープレキシティー)。インターネット上からの情報源を用いて回答を生成し、回答文中に根拠となる情報源を引用する機能を持つ。その回答の早さと精度から、Googleに代わる検索エンジンとしても注目を集めている。ウォールストリートジャーナルが5月に発表した調査では、PerplexityがChatGPTやGeminiを抑える形で、AIチャットボット人気ランキング1位となった。

 Perplexityは2022年8月に設立された。2015年12月設立のOpenAIや、2021年1月設立のAnthropic(アンソロピック)などの生成AIスタートアップと比べても後発にあたる。一方でPerplexityは、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏や、NVIDIAから出資を受けていて、新進気鋭の生成AI企業として期待が集まっている。国内では6月、ソフトバンクが提携した。

 既にレッドオーシャンとなっている生成AI開発競争の中で、企業はどうすれば生き残れるのか。前編記事に引き続き、Perplexityのドミトリー・シェヴェレンコCBO(最高事業責任者)に聞いた。

ドミトリー・シェヴェレンコ(Dmitry Shevelenko) Perplexity 最高ビジネス責任者。Perplexityにて戦略的な消費者およびエンタープライズパートナーシップを含む、同社のビジネス成長のあらゆる側面を主導。Perplexity入社前は、小売りおよびコマース自動化のスタートアップTortoiseの創業者であり、ウーバー、LinkedIn、Metaでビジネス開発とプロダクトリーダーシップを務めた経験もある。コロンビア大学で人類学の学士号を取得(撮影:河嶌太郎)

ジェフ・ベゾス氏の助言の真意は? 会社の健全性を測る指標

――Perplexityのビジネスモデルは、有料版の提供によってマネタイズしていく形なのでしょうか。

 その通りです。現在、Perplexityは主に3つのバージョンを提供しています。1つめは無償版。次にソフトバンクがユーザー向けに1年間無償で提供している「Perplexity Pro」。これはソフトバンクユーザー以外の人には、有償で提供しています。そして法人向けの「Perplextiy Enterprise Pro」があります。

 そしてもう1つ、PerplexityのAPIを法人に提供することも、われわれのビジネスモデルにしています。このAPIのビジネスモデルも非常に伸びています。このPerplexity ProとPerplextiy Enterprise Pro、APIの3つで主にマネタイズしています。これらに加え、4本目の柱として、米国でいくつかのブランドとのパートナーシップを通じて、広告を展開しています。今後は広告も収入源になっていくと思います。

――今後はエンタープライズでの利用も伸びていくと思います。企業はPerplexityを使うと、どんなことができるようになるのでしょうか。

 ナレッジワーカーが持っているリソースの中で、最も足りないのが時間です。そしてそのナレッジワーカーの上司というのは、常に「もっとこれをやってくれ」と言ってきます。こうした中でPerplexityを使うことによって、限られた時間の中で効率よく作業を進めることができます。そこの部分で手助けができると思います。

――Perplexityには、Amazon創業者のジェフ・ベゾスさんも出資しています。シェヴェレンコCBOはジェフ・ベゾスさんにお会いすることはあるのですか。

Amazon.comの共同創設者のジェフ・ベゾス氏(Wikipediaより)

 お目にかかったことはあります。何時間も共に過ごしたわけではないのですが、限られた時間の中でいただいた助言は本当に有益でした。

――例えばどんな助言があったのですか。

 マーケティングを考えるときには「とにかく独創的であれ」「クリエイティブであれ」と言われました。そして企業が成長を続けている時に、その会社の健全性を測れるのはリテンション率(顧客維持率)で、それがどれだけあるかが重要だということでした。一度われわれのユーザーになったからには、それらの人たちをずっと引き留める。それが企業の健全性を測れる指標であるから「そこに目を配れ」と言われています。

競合になるサービスとは

――iPhone16をはじめ、端末側にも生成AIが搭載される動きが出てきています。こうした動きを、どう捉えていますか。

 多くのOEMが、デバイスにAIソフトウェアを組み込んでいます。それらのAIはインターネットで検索をかけるために使われるAIではありません。そのデバイスの設定の中で組み込まれているさまざまなローカルなデータを、AIが駆使する仕組みになっています。

 そういった意味で、今後AIがデバイスに組み込まれるようになったとしても、われわれのような独立したサービスプロバイダーで、多様なプラットフォームから情報を得られる仕組みは、いつまでも支持されると思います。われわれのソフトに対してクエリ(命令文)をかける時は、さまざまなWebや外部情報からコンテンツを引っ張ってきますので、ローカルな個人データは不要といった違いがあります。

――最近ではGoogle検索でも生成AIの回答が上位に表示されるようになってきています。このサービスは競合になるのでしょうか。

 米国で、Googleが検索結果の上位に生成AIの回答が出てくるサービスをローンチした際、実はPerplexityのユーザーが伸びたのです。同種のサービスで、ユーザーはGoogleよりPerplexityを選んだ結果となります。Googleはとても難しい立場にいると思います。彼らは広告収入の部分を死守しなくてはなりません。しかし広告収入中心のビジネスモデルでは、なかなか最良の回答エンジンが作り込めないと思います。

 ユーザーは検索結果のリンクが欲しいときにはGoogleで検索する。そうではない、生成AIによる上質な回答が欲しい場合には、当社のものを使うというすみ分けが今後、広がってくると思います。ユーザーのニーズが変わってきているこの時代、Googleは既存の収入源を維持しつつ、さらに新しいところにもきちんとサービスを提供していかなくてはいけない立場にいます。私は、Googleが次なる世界に移行するのは難しいのではないかと思います。

――ウォールストリートジャーナルの調査で、PerplexityがChatGPTやGeminiを抑える形で、AIチャットボット人気ランキングの1位になりました。競合するLLMについてどのように見ていますか。

 競合がいるからこそ、われわれも「自社のプロダクトをより良いものにしよう」と思って日々作業を進めています。当社はLLMの研究開発というより、アプリケーション、プロダクト開発に集中しています。これが例えばOpenAIの場合ですと、主にはLLMの研究開発会社になります。

 われわれは、どのようにしたら彼らのモデル、特にファンデーションモデル(基盤モデル)をより強化できるかを考えています。

 一方でわれわれは、プロダクトに特化した会社です。例えばPerplexity Proの利用者は、回答結果をGPT-4o、Claude 3.5 Sonnet、Claude 3.5 Haiku、Grok 2、そしてPerplexiy独自のSonar Huge、LargeなどのAIモデルに、ユーザー自身が切り替えることが可能になっています。

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