「カヌレ」はなぜ定番スイーツ化していったのか? ローソンやスシローで大ヒット 「進化系」も登場した背景長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)

» 2024年12月19日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

コロナ禍の「プチぜいたく」機運が追い風に

 阪神間で人気となったカヌレは西進し、2013年には福岡市に「ラ・スール」、2017年には広島市に立町カヌレなどの専門店が誕生。両店は後述する名古屋のカヌレとアイス、新潟の「カヌレドキャンティ」などとともに東京に進出し、東京でもカヌレブームをけん引していく。

ラ・スールの生カヌレ(出所:ラ・スール公式Webサイト)

 ラ・スールは博多阪急に1号店を出店。これが人気となり、大阪や東京、京都に勢力を拡大していった(現在の常設店舗は福岡本店、大阪、京都の3店)。同店のカヌレは1個500円ほどと高価で、中のもっちり感を際立たせた「生カヌレ」が有名だ。担当者は「コロナ禍では特によく売れた。ステイホームで旅行に行けない代わりに、少し高いスイーツを買って、家で非日常的な時間を過ごしたかったのではないか」と話す。

 2017年には、広島市で洋菓子店を営むカスターニャが市内にカヌレ専門店「立町カヌレ」をオープン。大サイズの王道カヌレを中心に、中サイズや季節限定品も販売している。広島産のレモンやブルーベリーを使った、ご当地カヌレも魅力だ。

 立町カヌレの1号店は路地裏にもかかわらず、オープン2日目から表通りまで伸びる行列となった。同年は「インスタ映え」が流行語大賞となった年でもあり、見た目のかわいらしさがSNSで話題を呼んだ。

立町カヌレのカヌレ各種(出所:立町カヌレ公式Webサイト)

 その後、2019年に広島駅の駅ビルに2号店をオープン。駅ビルや駅ナカ施設に出店を重ね、広島以外に東京・埼玉・大阪・岡山も含めてカヌレ専門店として最多の9店を展開する。全店で1日平均、5000〜7000個を販売し、客層は男女が半々。カヌレ専門店は女性人気が高いものの、男性のビジネス用途の購入比率が高く、このような客層になっている。特にエキュート品川店が顕著で、新幹線に乗る出張族が東京みやげとして買い求め、ホワイトデーには男性客の行列が恒例化しているという。

立町カヌレの12月限定、ホワイトカヌレ(出所:立町カヌレ公式Instagram)

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