シャープの「ヘルシオ トースター」が登場 強豪だらけの市場で、“3倍需要”の背景外はサクッ、中はふわっ(5/5 ページ)

» 2024年12月23日 06時00分 公開
[小林香織ITmedia]
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競合とどう戦うのか

 各社が「究極においしいパン」を目指して妥協なしの製品を販売するなか、ヘルシオ トースターはどうやって支持を獲得していくのか。

 「高級トースター市場がチャレンジングであるという認識はあります。一方で、当社製品の優位性は、過熱水蒸気を使ってパンの内部に水分を閉じ込めるため、時間がたっても乾燥しにくく最後の耳までおいしく食べられること。かつ、好みの焼き加減の選択ができることです。この点を訴求して、実際に体験してもらえる機会を多くつくることで価値を伝えていけたらと考えています」

体験を通して製品価値を伝えていく取り組みに注力するという(シャープ提供、以下同)

 シャープは2024年10月に、期間限定で「HEALSIO CAFE(ヘルシオカフェ)」をオープンし、ヘルシオ トースターで焼いたパンを提供した。また、量販店でも販売員向けに製品の体験イベントを実施し、好評を得たという。

 そうした戦略が功を奏したためか、予約販売でも一定数を売り、結果的に当初の月産台数2000台を約3倍に増産している状況だ。

庫内が水蒸気でおおわれた後、徐々に透明になって焼き上がるという

 今後のマーケティング施策として、庫内が過熱水蒸気で満たされた後、パンが焼き上がる特徴的な様子を再現した展示を行ったり、製品利用者の体験談を公式サイトやSNSで発信したりして、価値を訴求していく方針だという。

 「体験してもらうと価値を実感してもらえることが多く、『こんなにおいしいパンは食べたことがない』という声もありました。現状は、同製品を体験された店員の方のおすすめで購入を決める、またはヘルシオ グリエを利用していて新製品も購入するという方が目立ちます」

 幅広く認知と信頼を得ている「ヘルシオ」ブランドを押し出しつつ、体験価値を丁寧に届けていくことができれば、ヘルシオ トースターは高級トースター市場で存在感を発揮する製品になるかもしれない。

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