鳥貴族が新時代の「居酒屋王」に!? 苦戦するライバルと差がついた決定的な理由小売・流通アナリストの視点(4/4 ページ)

» 2024年12月25日 08時00分 公開
[中井彰人ITmedia]
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売上高600億円のカギを握る「やきとり大吉」

 外食産業は昔から労働環境が厳しく、人材の定着率は決して高くない。この状況は今でもほとんど変わらない。その上、近時の人手不足から、今後はさらに定着率は悪くなる環境にある。

 外食産業に長い期間残ってくれる人材は昔から、「独立して自分の店を持つ」という目標がある人が多かったはずだ。鳥貴族グループでは、独立支援による人材の確保を目標の1つとしており、数年前から独立のための小規模店舗フォーマットを整備しつつあった。

toriki やきとり大吉(エターナルホスピタリティーグループ公式Webサイトより引用)

 そこにやきとり大吉の約500のFC店舗が加わり、その多くが順次、事業承継を必要としているという。これこそ、鳥貴族社員にとって独立の多様な選択肢であり、グループ内で独立した経営者として成長していくことが可能になる。優秀な人材の流出を減らし、グループ内経営者として共栄していこうという発想自体が、人手不足の時代の人材確保に大きく寄与することは間違いない。新たな居酒屋王、鳥貴族の成長は、当面持続すると考えていいのではないだろうか。

著者プロフィール

中井彰人(なかい あきひと)

メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。


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