AI活用の追い風を受けて業績を伸ばしているNEC。日進月歩のIT業界にあって5月、企業や社会のDXを促進する価値創造モデル「BluStellar」(ブルーステラ)という新しいブランドを発表した。これまでの「御用聞き」の営業方法から、市場環境を把握・分析し、顧客の課題を引き出して、解決に乗り出す手法に変えていく構えだ(関連記事【NEC「ブルーステラ」誕生の舞台裏 コンサル人材を自社で育成する強みとは?】を参照)。
2025年度には、全社売上高3兆5000億円のうちBluStellar事業で4935億円の売り上げを見込む。2024年はNECにとって、どんな1年だったのか。森田隆之社長に振り返ってもらった。
森田隆之(もりた・たかゆき)1983年にNECに入社、2002年に事業開発部長、2011年に執行役員常務、2018年に副社長、2021年4月に社長に就任。6年間の米国勤務や2011年からの7年間の海外事業責任者としての経験も含め、海外事業に長期間携わってきたほか、M&Aなどの事業ポートフォリオの変革案件を数多く手掛け、半導体事業の再編や、PC事業における合弁会社設立、コンサルティング会社の買収などを主導した。2021年5月には、2030年に目指すべき未来像「NEC 2030VISION」と、2025中期経営計画を公表した。64歳。大阪府出身――2024年はNECにとってどんな1年でしたか。
やはりキーワードは「BluStellar」ですね。NECはエンタープライズ領域の大手企業や、国・中央官庁などの顧客とDXを進めています。その基盤になるのが当社のビジネスモデルであり、方法論となるBluStellarです。
NECには社会インフラの事業があり、重要インフラなどミッションクリティカル(企業の存続に欠かせない重大)な領域に対して、開発から製造、システムの構築までをEnd To End(エンドツーエンド、上流から下流まで)で手掛けています。NECはそういった領域を持ちながら、顔認証やAI、セキュリティといった技術を組み合わせて、その方法論とプラットフォームを作り(システムを構築する際に複数ベンダーの業務システムやサービスを組み合わせて構築する)ベストオブブリードで、日本の大企業や政府のDXを進めていきます。
地方公共団体や病院、中堅、中小企業に対しては、これらの成果を踏まえて工事やネットワーク構築も含めた日本全国のDXを推進していくビジネスがあります。
中核になるDXの体系を、もともとの「NEC Digital Platform」をリネームしてBluStellarとしましたが、あらためてブランドのパワーを再認識しました。もちろん5年ほど前からそういったモデル化などには取り組んできたものの、BluStellarという形で社内外に打ち出すことによって、顧客への訴求力も上がりました。メディアもいろんな形で取り上げてくれるようになりました。
――社内や社外にBluStellarは浸透してきていますか?
そうですね。一番大きいのは社内への影響です。社内がこのBluStellarを中核に、さまざまな仕事やビジネスを考えるようになってきました。私は社員に対して、よく「BluStellarは進化系だ」と言っています。「これがBluStellarで、これはBluStellarでない」ということではなく、どんどんいろんなものを取り込んで、変わっていくものだと思っています。
編集部より:1月初旬に実施する「2025年 新春トップインタビュー 〜AI革新企業に問う〜」では、森田社長に2025年のNECの展望などを語っていただきます。お見逃しなく!
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