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【注目の基調講演】企業社員一人一人の"オーナーシップ"と"適所適材"のマネジメントとは
フリーライター(テーマ:働き方、経営、企業のIT活用など)
少子高齢化とそれに伴う人手不足が加速する中、社員の健康は、生産性はもとより事業継続にも関わる重要テーマだ。しかし「健康経営」の実践に難しさを感じている企業も多い。
「目の前の業務に比べて優先度が下がりがちで時間やコストを割くのが難しい」「何をしたらよいか分からない」といったことが主な理由だ。
そもそも、健康状態に影響する要素は仕事だけではない。食事や運動、睡眠などの生活習慣、ストレス、体質など多岐にわたる。習慣や意思といった私的な領域にまで踏み込まざるを得ない健康という問題に、企業がどこまで関与すべきなのかも悩ましい。
そんな「健康経営」の困難を解きほぐすヒントになりそうなのが、人事システムを提供するWorks Human Intelligence社(東京都港区、以下:WHI)のウォーキングイベント「Connected Walking」だ。
2021年から回を重ね、直近では全社員の51%に当たる1090人が参加。終了後のアンケートでは「健康意識が向上したか」「運動量が増加したか」について5点満点中でそれぞれ4.03、4.06をマークした。1カ月の平均歩数はイベント前との比較で平均50%上昇と、素晴らしい成果を上げている。
WHI社内の有志のグループ「Works Healthy Project」代表の発地大地さん(写真右、開発部門 グループマネジャー)、副代表の齊藤鉄也さん(写真左、BPO部門 コンサルタント)が取材に対応してくれた注目すべきは、これが会社主導ではなく社員のボランティアで行われていることだ。なぜこのようなイベントを実施し、これだけ多くの社員の参加を得られたのか、中心となって企画・運営を行った社員に話を聞いた。
お話を聞いたのはWHI社内の有志のグループ「Works Healthy Project」(以下、WHP)代表の発地大地さん(開発部門 グループマネジャー)、副代表の齊藤鉄也さん(BPO部門 コンサルタント)だ。
WHPが初めて「Connected Walking」を開催したのは2021年春。コロナ禍で在宅勤務が主流となって懸念された運動不足、そして社員間のつながりの希薄化を解消しようと考えた企画だったという。
まずは小さくやってみようと、人事部にかけあって新卒入社者50人を対象に実施。それが成功したため、同年秋には全社員を対象に開催した。それ以来、春に新入社員向け、秋に全社員向けにそれぞれ4週間かけての開催が定着している。
イベントの内容は少しずつブラッシュアップされており、現在の基本ルールは以下の通りだ。
3〜5人のチームでエントリーしても、個人でエントリーして運営側にチーム編成を委ねても良い。チームではなく個人での参加を選ぶこともできる。
毎週、個人の目標歩数を決め、実際の歩数をスマートフォンやウェアラブルデバイスなどで計測する。
前日の歩数をSlackの専用チャンネルに報告する(自動的にGoogleスプレッドシートの記録表に入力される)。
週に1回振り返りと目標設定を行う。なお、振り返りは「Keep(できたこと、継続すること)」「Problem(改善するべき問題点)」「Try(挑戦したいこと)」をそれぞれ挙げる「KPT」というフレームワークに沿って行い、それを元に次週の目標を決める。
週に1度配布されるビンゴカードに書かれた「お題」に、チームメンバーで協力して取り組む。
1〜4のミッションを遂行するたびに、参加者には独自のポイント「コネクト」が付与され、イベント期間中にたまったコネクト数に応じて「健保ポイント」(福利厚生のカフェテリアプランに使用できるポイント)がもらえる。また、最後のクロージングイベントでは個人やチーム単位でのさまざまなランキングを発表し、上位チームには「CxOとのランチ」などの副賞も授与される。
ちなみに、2024年10〜11月に開催したイベントではCxO4人のチームが213チーム中1位を獲得し、CxOとのランチの権利は2位のチームに譲られた。平日は忙しいCxOたちだが、夜に歩いたり週末にまとめて歩数を稼いだりしたそうだ。
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