こういった企画は「ポイントがもらえるならとりあえずエントリーしておこう」という参加者も少なくないだろう。それでも、本イベントではエントリーした9割近くが4週間継続して参加した。
WHPでは、「Connected Walking」以前にもオンラインラジオ体操を開催したり、定時にストレッチをするようSlackでリマインドメッセージを送ったり、コロナ禍の運動不足を解消する施策を試行していた。しかし、参加者数も継続率も低かったという。
その要因として発地さんは、運営側から個人に一方的に参加を呼びかけるのみだったことを挙げる。そこで「Connected Walking」では、参加者が楽しみつつ自発的に継続できる仕掛けを導入した。それは、ITエンジニアである発地さんが普段の業務の中で慣れ親しんでいた「ゲーミフィケーション」と「スクラム」だ。
「ゲーミフィケーション」とは、ゲームデザインでよく用いられる手法を他の領域にも応用し、単調な作業や習慣化が難しい活動も楽しく継続的に取り組めるようにする手法だ。
「Connected Walking」の企画の際は「ゲームっぽく考えてみよう」をキーワードにWHPのメンバーで話し合った結果、さまざまなアイデアが出てきた。結果として、ミッションを達成するたびに「コネクト」が付与される、Slackで歩数の報告や関連の投稿をするとBotが称賛や応援のメッセージを返してくれる、チームで協力してランキング上位を目指す……といったゲーミフィケーション要素が盛り込まれ、参加者のやる気を盛り上げている。
「スクラム」は、主にシステム開発の現場で用いられるメソッドだ。1〜4週間程度の短い期間で達成する目標を決め、毎日チームで進捗状況や課題を共有しながら仕事を進める。計画した期間が終わるとチームで振り返りを行い、次の期間の目標と計画を立てる。こうして小さなPDCAサイクルを繰り返すことで生産性が高まり、より良い成果物を作ることができる。
「Connected Walking」では、SlackのBotでチームのビンゴ達成状況や個人の歩数を知らせたり、週次アンケートという形で1週間の振り返りと翌週の目標設定を促したりして、目標達成を支援した。
「ゲーミフィケーション」と「スクラム」に加えて参加者のモチベーション維持に役立っているのが「チーム制」だ。
「Connected Walking」には個人で参加することもできるが、8割以上がチームでの参加を選択している。運営側でも、チームで取り組むビンゴやSlack上のチームのチャンネルなど、チームでの交流が生まれる仕掛けに力を入れている。その理由について、齊藤さんはWHPの理念を挙げた。
「私たちは、身体の健康と心の健康だけでなく、社会的健康も加えた3つの軸で健康を捉えています。ウォーキングイベントが身体を動かす機会になるだけでなく、人と人との交流が生まれる機会にもなることが重要だと考えているんです」(齊藤さん)
CxOチームで参加した八幡誠CHROも、「Connected Walking」で生まれる交流の価値を大いに実感したという。
「『今日、どこ歩く?』とか『週末にこんなところに行って……』といった雑談のきっかけになりました。普段はどうしても仕事のことに終止して、そういう話はなかなかしないんですよね。お互いを知り合うすごく良い機会になったと思います」(八幡CHRO)
なお、直近のイベントではチームを超えた交流を生み出す仕掛けも取り入れた。
その一つはオンライン雑談会の開催だ。WHI社内では「リモティ」(リモートティータイム)と呼ばれるオンライン雑談会を以前から行っている。これを「Connected Walking」参加者向けに期間中に2回開催した。ビンゴカードに「リモティに参加する」というお題を盛り込んだこともあり、のべ120人が参加したそうだ。
また、イベント期間中に参加者同志がオフラインで行う自主企画を募集したところ、ハイキング、ランニング、フットサル、謎解きゲーム、食事会など85件ものイベントがSlackの専用チャンネル上で告知された。これにより、部署内や同じ地方拠点に勤務する社員同士が交流した。
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