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銀行の窓口への来店者数は、デジタル化の進展によりこの10年間で大幅に減少した。ATMの削減やキャッシュレス化が進む一方で、「高齢者が取り残される」「対面での相談機会が減ってしまう」といった不安の声も増えており、金融機関にとってこうした顧客との認識のギャップへの対応は悩みの種となっている。
そんな中、北國銀行(金沢市)は2021年にカスタマーサービス部CSグループを新設。顧客推奨度を示す指標「NPS」(Net Promoter Score)を活用しながら、顧客の声(VoC:Voice of Customer)を“参考にするだけ”で終わらせない仕組みづくりに取り組んできた。その結果、ただ顧客の声を集めるだけで終わらず、データに基づいた施策立案が可能になり、全社で顧客の声を活用する体制が整いつつあるという。
本記事の内容は、顧客体験(CX)マネジメントサービス「EmotionTech CX」を提供するエモーションテックが1月22日に開催したセミナー『北國銀行の挑戦!お客さまの声(VOC)を起点としたCX向上〜NPS®が導くサービス改善〜』の内容を要約したものです。
北國銀行は104店舗を展開する地方銀行だ。2021年10月にホールディングス会社を設立し、現在は11のグループ会社で銀行業務に加え、多様な顧客課題の解決に取り組んでいる。
同行が顧客の声の活用強化に本格的に乗り出したのはホールディングス会社設立と同じ2021年。カスタマーサービス部CSグループを新設し、顧客の声の一元管理を開始した。それまでは、顧客の声の“量”は十分に集められていたものの、その声から何を読み解けばいいか分からず持て余していたという。
また、苦情やクレームは全社で共有されるものの、個別対応にとどめるべきか、全社的な改善に生かすべきか判断が難しかった。厳しい意見が全社共有されることで、現場社員のモチベーションを下げてしまうことも。結果として、顧客の声は企業活動において“参考”にする程度にとどまり、前向きな改善につながりにくい状況が続いていた。
そこで北國銀行は、顧客の声を属性・定量・定性情報を備えた信頼できるデータへと進化させることを目指した。顧客をより深く理解し、全社的な意思決定やCX(Customer Experience)向上に活用できる仕組みづくりを進める。
デジタル化が進む中で、店舗だけでなく、電話やメールといった非対面接点に集まってくる声を重視するために、CSグループはコールセンター機能を持つダイレクトセンターに隣接させた。部門が隣接することで商品やサービスへの反響をリアルタイムに捉えられるだけでなく、顧客の声をデータとしてではなく「生の声」として実感できる利点もあった。
CSグループの業務は、顧客の声の全体像を把握するだけでなく、定量・定性データの収集、顧客体験への影響が大きい接点の特定など、多岐にわたる。それまでは各部署が個別に顧客の声を収集・分析しており、データ分析に詳しくない担当者が手探りで対応していたため、ノウハウの蓄積ができていなかった。これを解決するため、CSグループがVoCの収集から分析、改善の優先順位付け、施策の効果検証までを一元管理することで、全社でVoC活用ができる体制構築を目指した。
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