同社はこれまで首都圏と関西圏の需要に応えるために、データセンターを建設してきた。これまでの歩みをサーバ用電源容量の推移で振り返ると、2017年の発足当時は29MW(メガワット)だったものの、2024年には168MW(首都圏が94MW、関西圏が74MW)まで増加してきている。
畠山社長は「2024年は首都圏で印西市のNRTキャンパスに3棟目となる『NRT14データセンター』を着工しました。100MW規模に拡張できる一つのマイルストーンに到達しました。今後は東京圏、関西圏共に良い形で倍増する計画を立てています。ニーズのある地域に近い場所で、データセンターを建設していきたい」と述べた。
データセンターは稼働すると、施設内で運用しているサーバなどのIT設備が発熱する。そのため、設備をいかにして効率的に冷却するかが課題なのだ。このため寒冷地にデータセンターを建設しようとする動きもある。畠山社長は「最新式の水冷式冷却設備を導入すれば、寒冷地に建設する必要性はそれほどないと思います」と指摘した。
同センターは、環境負荷の低いデータセンターの運用を目指しているのが特徴だ。コロケーションサービスで使用する電力は実質100%再生可能エネルギーに転換した。また、三菱UFJ銀行が引受先となってグリーンボンドを発行。調達した資金はデータセンターの開発運営に充てるなど、環境を意識した経営をしている。
AIの計算基盤を支えるデータセンターは、電力消費量の大きさが課題だ。その中で、いち早く「実質100%再エネへの転換」を打ち出したのは先見の明があるだろう。
畠山社長はデータセンターを取り巻く課題として、以下4つの項目を挙げた。
中でも電力の安定供給はデータセンターの安定運用には不可欠だ。エネルギー基本計画が見直されている中で、政策的な後押しや制度改善も必要だとしている。今後の展望は「運用資産を倍増し、大きく出ていく年にしたい」と事業の拡大に強い意欲を示した。
いくら最新鋭の半導体装置があっても、膨大なデータを活用しなければ無用の長物になる。その運用に不可欠となっているのがデータセンターだ。印西市のデータセンターが立ち並ぶ場所に足を運ぶと、窓のない3、4階建ての倉庫のようなビルがいくつも立っている。こうした最新鋭の装置を、効率よく運用できるデータセンター設備を提供しているのがMCデジタル・リアルティのような運用事業社だ。一見すると目には見えないため、AIの成果や業績を支える黒子のような存在ではある。しかし、この設備が効率良く稼働しないと、AIが予定した成果を出してくれない。
このため、いまAIを使う側はどのデータセンターを使うか選ぶタイミングになっている。MCデジタル・リアルティがその特性を生かす形で、どこまで顧客をつかめるか。
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