KDDIが経理のオペレーション改革にAIを活用し、得た成果とは。従来の業務プロセスから脱却を図る中で直面した課題、失敗と成功、今後の展望を語る。
AIブームを背景に、その計算処理を担うデータセンターの需要が急増している。三菱商事と、米国の大手データセンター事業者Digital Realty(デジタル・リアルティ)による対等出資の合弁会社MCデジタル・リアルティ(MC DIGITAL REALTY)は国内で、KIXキャンパス(大阪府茨木市・箕面市)で4棟、NRTキャンパス(千葉県印西市)で2棟、三鷹市データセンターで2棟の計8棟のデータセンターを運用中だ。
同社の畠山孝成社長によると、2023年あたりからGPU(画像処理半導体)絡みでデータセンターの需要が大幅に増えてきたという。「数年で運用規模を倍に伸ばしたい。そのカギになるのは電力供給を十分に受けられるかどうか」だと指摘する畠山社長に、今後の展望を聞いた。
畠山孝成(はたけやま・こうせい)2023年4月にMCデジタル・リアルティに入社し、社長に。MCデジタル・リアルティ入社前は、40億ドル規模のグローバル不動産投資ポートフォリオのリバランスと最適化や、10兆円規模の事業資産の入れ替えなど大規模なポートフォリオマネジメント案件に携わり、日米で複数の企業を経営した経験がある2024年版の情報通信白書によると、世界のデータセンターの数は米国が最も多い。2024年3月末時点で5381、欧州各国が2100、日本は219しかなく米国の5%にも満たない数字になっている。数でみるとかなり立ち遅れていると言わざるを得ない。
全世界の市場規模(売上高)でみると2020年はコロナ禍で落ち込んだものの、その後は順調に回復。2023年は34.1兆円、2024年は36.7兆円と予測している。一方、日本は、2022年は2兆938億円であるものの、その後は確実に伸びているようだ。2027年には4兆1862億円まで成長するとみられている。それでも米国と比べると大きな開きがあるのが実情だ。必要とする電力を確保しながら、このギャップを、いかにして埋めていくかが課題になっているのだ。
日本でもこの数年で急速にデータセンターの需要が高まり、千葉県の印西市周辺は一躍データセンターの集積地点となっている。この数年、データセンターの建設ラッシュは続く。
MCデジタル・リアルティは、三菱商事と、世界に300以上のデータセンターを保有するDigital Realtyとの合弁により2017年に設立された。急増している大規模なAIの需要に応えられるハイスペックなデータセンターのインフラを提供しようとしている。
データセンターのサービスは、コロケーションサービスと、ハイパースケールサービスの2種類がある。コロケーションは、AI、データ分析、機械学習など電力集約型のアプリケーション導入を目指す顧客や、サービスプロバイダー向けに設計されている。セキュリティ水準の高いデータセンターに自社のサーバを設置して1ラックから利用できるのが特徴。導入事例としては、半導体やサイバーセキュリティ関連の事業をしているMACNICA(マクニカ、横浜市、原一将社長)や、AIを活用した自動運転サービスの開発をしているTURING(チューリング、東京都千代田区、山本一成CEO)などがある。
ハイパースケールサービスは、国内外の大手IT企業、クラウドコンテンツ事業者向けの大規模データセンターサービスだ。数メガワット規模のサーバルームを単位貸ししたり、1棟丸ごと貸し出したりしている。ディープラーニングの研究開発をしているPreferred Networks(プリファード・ネットワークス、東京都千代田区、西山徹社長)が2026年1月に本格運用する予定だ。
畠山社長は、同社のサービスの特徴として以下4点を挙げる。
畠山社長は「AIの開発では大規模で高速な計算基盤が必要となります。当社はこうしたニーズに対して多くの選択肢を提供できます。日本の中では、NVIDIAを始めとするGPUサーバの運用環境に最適なものは数社しかなく、わが社はその中でも先行しているのが強みです」と強調した。
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