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「顧客満足度向上」が経営における注力テーマの1つとして注目を集めている。新規顧客の獲得がどんどん難しくなり、さらなる人口減少も見込まれる今、既存顧客に愛され続けるブランドであることは、企業にとって重要性を増している。
日本生産性本部 サービス産業生産性協議会は2月5日に開催したセミナーで、顧客満足度調査「JCSI」(日本版顧客満足度指数:Japanese Customer Satisfaction Index)の結果を発表した。調査結果からは、新型コロナウイルス流行前後での顧客満足度に影響を与える要素の変化や、1位獲得企業が支持される要因が見えてきた。
詳しい結果を見ていこう。
JCSIは約30業種、約350企業・ブランドを対象に実施する日本最大級の顧客満足度調査で、「顧客満足」「顧客期待」「知覚品質」「知覚価値」「推奨意向」「ロイヤルティ」の6指標を数値化するものだ。
経営レベルでのCS活動(CSマネジメント)においてPDCAサイクルを回すことを目的としており、同調査は「C」(CHECK)の役割を果たすという。
2024年度JCSI調査で1位を獲得した企業を見ていこう。
まず、10年以上連続で1位を獲得し続けている企業では、ドラッグストア業種「ドラッグストアコスモス」(14年連続)、スーパーマーケット業種「オーケー」(14年連続)、宅配便業種「ヤマト運輸」(16年連続)、シティホテル業種「帝国ホテル」(16年連続)などがある。
旅行業種「HIS」や携帯電話業種「povo」などは、2024年調査において初めて1位を獲得した。
「業界シェア1位を獲得している企業以外のランクインが多いのが特徴的だ。シェアが大きい企業へのニーズは多様化し、全てに対応するのが難しい。一方、市場シェアの小さい企業はサービスに対するニーズの幅が狭いため、顧客満足度向上に対応しやすい傾向があるのではないだろうか」(日本生産性本部 サービス産業生産性協議会)
JCSIでは6指標を用いて総合的な顧客満足度を数値化しているが、この6指標の分布をみると、企業は3つのタイプに分類できるという。
まず1つ目は「知覚価値重視タイプ」(右肩上がりタイプ)。知覚品質よりもコストパフォーマンスへの評価が高い傾向がある。
例えば飲食業種では、「サイゼリヤ」が2位を大きく突き放して1位を獲得している。同社はコストパフォーマンスを図る「知覚価値」と「顧客満足」の数値が他社と比較して突出しており、典型的な知覚価値重視タイプといえるだろう。
スーパーマーケット業種で1位を獲得している「オーケー」などでも同様の傾向がみられる。
一方、コストパフォーマンスよりも品質を重視する傾向があるのが、2つ目の「知覚品質重視タイプ」(M字カーブタイプ)。宅配便業種「ヤマト運輸」などが、コストパフォーマンスよりも知覚品質の評価が高い、知覚品質重視タイプに当てはまる。
3つ目は「期待先行タイプ」(右肩下がりタイプ)で、顧客期待が高い一方で、知覚品質や知覚価値が下がってしまうタイプがある。
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