「コミュ強」人材を採用したつもりが、営業先ではパッとしない……なぜ?(3/4 ページ)

» 2025年02月21日 08時00分 公開
[榎本博明ITmedia]

とにかく「良い聞き手」となるべき

 『気持ちがふれ合い、相手の気持ちをスッキリさせるために大切なのは、相手に言いたいことを十分話してもらうことです。そのためには良い聞き手になることが大切となります。一方的にしゃべりまくるようでは、相手は言いたいことも言えず、イライラするでしょう』

 「まさに先方の言ってきたことですね」

 『とにかく良い聞き手になって、相手に思う存分しゃべらせる。それが良質のコミュニケーション力の高さなのではないでしょうか』

「良い聞き手」となるべきだ

 そこで、ほんとうのコミュニケーション力について、さらにはコミュニケーション力を高めるためのコツについて、つぎのような解説をした。

 コミュニケーション力を高めるというと、聞き上手より話し上手になることをイメージする人が多い。だが、ビジネスで必要なコミュニケーション力としては、話し上手より聞き上手のコツを身につける方がはるかに重要となる。なぜなら、聞き上手な人の方が相手に大きな満足を与えることができるからである。

 話し上手な人は、その場を盛り上げたりして人を楽しませることができるものの、どちらかと言えば自分自身がしゃべることでスッキリする感じがある。その分、相手をストレスフルな状態にしてしまうことがある。例えば、しゃべりが得意だと自認する人は、ときに一方的にしゃべりすぎて、相手をうんざりさせたり、イライラさせたりすることがある。

 今回の事例でも、取引先の人はそのような心理状態に追い込まれているのではないか。それに対して、聞き上手な人は、相手の話にじっくり耳を傾けることで、相手の気持ちをスッキリさせることができる。ゆえに、聞き上手な人の方が、相手にとって報酬価の高い存在といえる。口べたな人が意外に好感を与えたりするのも、自分がしゃべりに自信がない分、聞き役に徹するため、相手は気持ちよくしゃべることができるからである。

 このように、また話したいと思える相手、一緒にいてホッとできる相手というのは、話し上手な人よりも聞き上手な人であることが多い。従って、コミュニケーション力を高めたいなら、話し上手を目指すよりも、聞き上手を中心とした対話上手を目指すべきであろう。

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