イシュー思考においては「仮説を設定して検証し、その仮説をアップデートしていく」という「仮説思考」が何よりも重要なベースとなっています。
ここであらためて「仮説思考」についてお伝えしておきます。
「仮説思考」は、まだ答えが分からない課題に対して、仮置きの案(仮説)を立てて、それを検証しては書き換えアップデートし続けていく思考法です。
仮説はたたき台と割り切って、間違いを恐れることなく、そう言い切って良いのかが気になって仕方なくなるほど具体的に言語化して書き記します。そうすると、「本当か?」「検証したい!」「書き換えたい!」という自然な衝動に脳内活動が駆り立てられて、仮説の検証作業に勢いがつきます。
また、結論に至るまでは、文末を疑問形で表現すると、思考する脳内に刻み込まれやすくなって、脳が活発に働くようになります。言い切り調ではない宙ぶらりんな表現のほうが、脳に印象として刻み込まれやすく、自分の無意識下でも脳が勝手に思考するようになるのです。
仮説思考が問題解決の生産性を上げる有効な思考法であることは、みなさん何度も耳にしていることでしょう。とはいえ、十分に仮説思考を実践できていないことが少なくありません。
ここでは、仮説思考の要諦(ようてい)を3つ紹介します。
「仮説」と表現されるのは、間違っているからです。間違っているものと割り切って、間違いを大前提として思考します。間違いを恐れることなく、具体的な内容を仮置きとして書き記し、これをたたき台として検証するのが「仮説思考」です。
仮説思考の目的は、問題解決の生産性を上げることです。従って、問題解決の生産性を上げないような「仮説思考」には全く価値がありません。
問題解決の生産性を上げる「仮説思考」とは、仮説を検証して書き換えていく仮説更新のサイクルが高速で回転している状態です。
仮説が高速で書き換えられていかない状況とは、仮説思考が停止している状態か、結論に至って問題解決が完了した状態かのいずれかです。仮説は、仮説更新サイクルの速さが速いほど優れています。従って、当初の仮説から、書き換え更新が全く進まない仮説は、「ダメ仮説」です。
それでは、どのような仮説が「良い仮説」なのでしょうか。例えば、「どのようにしてレストランの集客を増やすか」という問題について具体的に考えてみましょう。
一つの仮説として「麻婆豆腐、ラーメン、餃子、唐揚げを看板メニューと定めて刷新することによって、集客を倍増できるのではないか?」と書き記します。この仮説を読み返してみると、例えば以下のような疑問がどんどん湧いてきます。
すなわち、疑いたくなるほどに具体的な仮説を立てられれば、「本当か?」「これで十分か?」といったさらなる疑問が次々と湧きあがり、検証しないではいられない衝動に駆り立てられます。その結果、仮説を更新していく仮説思考の勢いが増していきます。これは、自ずと問題解決のプロセスがスタートして、勢いよく前進している状態です。
ここで、私が仮説を案出する際の指針としている思考原則について紹介しておきましょう。みなさんが仮説を案出する際にも、意識してみてください。
ぜひ、このような思考原則もヒントとして仮説思考を使いこなしていってください。
日本道路公団のエンジニアとして高速道路計画・建設に従事したのち、マッキンゼー・アンド・カンパニーにてテクノロジー・製造業分野を担当してパートナー就任、グローバルマネジャートレーナーのメンバー兼東アジア地域マネジャートレーニングリーダーとなる。
その後、カーライルグループのアドバイザーとして投資先をサポートし、デジタル化の動きが本格化していくタイミングにてアクセンチュア戦略コンサルティングのマネジングディレクター就任。2017年に働くヒトの可能性を開花させることをミッションに、株式会社キャリアデベロップメント・アンド・クリエイションを起業。著書に『なるほどイシューからの使えるロジカルシンキング』(かんき出版)がある。
東京大学工学部土木工学科卒業、同大学院修了、スタンフォード大学MBA修了。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング