富士通が、2026年度から新卒一括採用を廃止する──。同社は3月7日、ジョブ型人材マネジメントに基づく採用方針を発表した。新卒採用・キャリア採用の区別を設けず、必要な職務を担う人材を、通年でフレキシブルに採用。競争力を強化する。
社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」を中心とする同社のビジネス拡大に向け、コンサルティング、ビジネスアプリケーション、AI、コンピューティングなど、最先端技術分野で活躍できる人材を積極的に採用する。幅広いビジネス領域で即戦力として活躍できる、多様な研究分野で専門性の高い博士人材の獲得をより一層強化する方針だ。
富士通は、2020年より段階的にジョブ型人材マネジメントを導入し、人事制度を改革してきた。報酬については、2023年に全社員を対象として年収を平均約7%、最大24%引き上げ、ジョブレベルに応じてグローバルにマーケット競争力のある報酬水準へと大幅な底上げを実施。事業部長クラスは年収約2000万円から3000万円程度、課長クラスは年収約1200万円から1300万円程度、リーダークラスは年収約1000万円以上になるという。
ジョブ型人材マネジメントの適用により、従来の「学部卒・修士卒」といった学歴別の初任給ではなく、職務レベルに応じた給与体系へ切り替える。新卒入社者の年収は約550万円〜700万円程度となる見込みで、高度な専門性を持つ人材は1000万円程度になる可能性もあるという。
これは、初任給水準で考えるのではなく、若手社員により専門性や付加価値の高い仕事を担わせ、その仕事に見合った報酬で処遇するという考え方に基づくものだ。入社後に若手にやらさせていた定型的な業務を、AI活用や業務プロセス改革によって見直し、成長意欲の高い人材に、高いレベルの仕事に早期から取り組んでもらう。
同社は、報酬だけで社員を評価するのではなく、その報酬に見合う職務に挑戦できる機会を含めた処遇をしていく。入社後に社員の成長を促し、よりハイレベルな職務に挑戦できるよう人材育成に投資する。ポスティングに応募する機会も提供し、社員の目標達成に向けた挑戦を後押ししていく構えだ。
また、学生向けの1〜6カ月の有償インターンシップの機会を拡充。ビジネスやデジタルツール活用などの基礎スキルの習得を促進する。これにより、同社と学生の双方が入社後の働く姿をイメージできる機会を創出する狙いだ。
研究開発職に限らず、ソリューションエンジニアやセールスなどのビジネス職にも対象を広げ、実践的な業務を経験できる環境を提供する。他社のインターンシップや起業経験、研究活動での専門スキルも評価対象とし、即戦力の高い人材を積極的に採用していく。
この変革により、同社は2030年に向けた価値創造のビジョンである「デジタルサービスによってネットポジティブを実現するテクノロジーカンパニー」の実現を目指し、さらなる成長と革新を追求する。
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