日本能率協会(JMA)は「2024年度(第45回)当面する企業経営課題に関する調査 人材確保」の調査結果を発表した。調査の結果、従業員の離職を防ぐには「金銭面での改善」が必要であり、採用などの場面で人材を引きつける要素は「働きやすさ」だと分かった。企業は人材戦略の多角的な見直しが求められている。
離職率の低下には「基本給の見直し」や「賞与の見直し」といった防衛的な金銭的報酬の実施が大きく寄与する傾向があった。一方、採用や人材確保では「柔軟な働き方の導入」や「成長機会の提供」などの非金銭的報酬が好影響を与えており、人材確保に関してポジティブな成果を上げている企業は、金銭的・非金銭的報酬施策を数多く取り入れていることが明らかに。
人材確保や従業員の動機づけにつながる総合的報酬の実施状況では、働き方改革関連法及び就業意識への対応として「ワークライフバランスの改善」が 78.9%、人材獲得競争及び物価高騰下での「基本給の見直し」が 75.5%で突出していた。
非金銭的報酬の上位施策を「実施済だが今後の見直し・拡充」意向とした割合は、20〜35%台で金銭的報酬の各施策より高かった。現在の賃上げの一巡後は、職場や働き方に関する従業員満足度向上が課題であることが示唆されている。
また、実施を予定及び検討している施策では、業務改善やDXなどの「効果的・効率的な業務改善」(39.1%)、「ジョブ型、スキルベース型などの人事制度改訂による若手中堅社員の賃金見直し(上昇)」(37.9%)、「各種手当の見直し・拡充」(37.4%)の3施策が4割近くに及んだ。
調査は、2024年9月13日〜11月30日にJMAの法人会員ならびにサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5074社)を対象に郵送調査法を用いて実施した。回答数は470社。
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