「氷河期世代」はなぜ報われないのか 国の支援では解決できない、これだけの理由スピン経済の歩き方(6/8 ページ)

» 2025年03月19日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

生まれたときから就職難が見えていた

 「雇用の受け皿」が減少しているのに、新卒は増えていく。しかも、新卒が就活で狙う企業というのは、建築作業、農業、介護などの不人気業界は少ないので、限られた企業の求人に多くが殺到する。そうなれば「内定ゼロ」の学生が大量生産されるのは当然だろう。

 つまり、就職氷河期というのはバブル崩壊うんぬん以前に、先ほども触れた「イス取りゲーム」で、プレーヤーの数に対してイスが圧倒的に少ない状態がスタートした時期なのだ。

 それは、1985年の経済企画庁の報告書にある、こんな記述からも明らかだ。

結局、団塊ジュニア世代は大学を卒業しても、非正規雇用を余儀なくされるのではないか(出典:『21世紀のサラリーマン社会−激動する日本の労働市場 経済企画庁総合計画局編』東洋経済新報社)

就職難に陥った就職氷河期世代(画像はイメージ、出典:ゲッティイメージズ)

 当時の予測では、いわゆる「団塊ジュニア」が就職活動をスタートする1992年には、132万人が新卒就職するとされ、この水準は1990年代まで続くことが分かっていた。そうなれば、企業は1980年代に比べて11%増の採用を12年間続けなければ、新卒者を吸収できない。しかし、採用がそんなに右肩上がりで増えることなど、あり得ない。

 つまり、今の40〜50代の多くが社会に出た後に困難に直面し、非正規労働や低収入に苦しむということは、バブル景気に入る前1980年代前半から、かなり正確に予測されていたのである。

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