サービス業や対人援助職に携わる企業では、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応が喫緊の課題となっている。東京都では4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」を施行し、カスハラを一律で禁止するなど、自治体での対策も加速している。
そのような中、弁護士ドットコム(東京都港区)の調査によると、自身の行為が「カスハラに当たる可能性を認識していない」人は7割に上ることが分かった。なぜ、多くの人が意図せずカスハラをしてしまうのか。
「カスハラをしたことがある」と回答した人は10.1%だった。一方で「自分の言動がカスハラにあたる可能性があると認識していた」とした人は28.4%にとどまり、7割がカスハラにあたる可能性を認識していない実態が明らかになった。
カスハラをした動機は「正当な批判・論評だと思ったから」が最も多く60.5%。以降は「怒りが収まらなかったから」(45.7%)と続き、その場では、正当なものだと認識していた人が大多数を占める結果となった。
「納得いく対応ではなかったから」(40代男性)、「自分が持ち込んだ商品を傷つけられ、何回言っても改善しなかったから」(50代男性)といった回答が寄せられた。
カスハラ対策を企業側に義務付ける法改正が進められようとしていることを「知っている」とした人は44.4%となり、半数近くが認知していた。
東京都のカスハラ防止条例について、効果は「大いにあると思う」とした人は3.0%、「一定の効果はあると思う」とした人は28.9%となった。合わせて約3割が、ある程度の抑止効果を期待しているようだ。
回答した人からは「罰則がなくとも条例で定められていれば、一定数の人には抑止効果があるかもしれない」(30代女性)、「小売業やサービス業には『お客様は神様です』信仰が根付いている。少しでも意識を変えるキッカケになってほしい」(70代男性)といった回答が寄せられた。
一方で、効果は「あまりないと思う」「全然ないと思う」とした人は41.3%に上った。
回答した人からは「罰則規定や不利なことがない限りやめないと思う」(20代女性)、「罰則規定がない場合、抑止力はあまり期待できない。また、処罰されないからと態度を改めない人も出てくるから」(40代女性)といった声が集まった。
調査は1月20〜29日にインターネットで実施。同社の会員800人から回答を得た。
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