米国でも、これまでに大量の技術が中国に盗まれている。Googleの検索プログラムそのものや、米アイクストロンの半導体製造装置、テスラの自動運転技術も中国に盗まれ、犯人の中国人が捕まっている。また、日本製鉄による買収問題が話題になっているUSスチールも、中国側のサイバー攻撃で知的財産が盗まれたと告発している。こうした例は枚挙にいとまがない。
日本でも、サイバー攻撃によって知的財産が盗まれる事案は少なくない。今から6年ほど前に筆者は、日本で展開していた英国系サイバーセキュリティ企業のトップから「日本の大手化粧品会社の化粧品製造に関する企業秘密情報が中国のハッカーに盗まれている」と情報提供を受けた。因果関係を完全には確認できないが、最近中国では日本製化粧品の模倣品が当たり前に出回っていて、日本メーカーの商品販売が苦戦していると聞く。今になって実害が出てきている可能性がある。
話を戻すが、APBのように、日本で確認されている多くのケースで、中国は日本企業に「共同開発をしたい」「投資をしたい」と接触している。技術開発のために資金が欲しい企業(スタートアップ企業を含む)は、そうした提案に飛びついてしまうことも少なくないし、その心情はよく分かる。
また、中国が欲しがっている技術について研究する大学の研究室にも、研究費の提供を持ちかけるなど、企業と同じようなアプローチがなされる。だが、その餌に食いついてしまい、知的財産を盗まれてしまったら元も子もない。
しかも、日本では今後、中小企業経営者の高齢化による後継者不足により、似たような投資や買収の提案が増える可能性もある。ここまでの状況になると、政府が乗り出して技術や産業を守らないと、日本の開発力がそがれて経済が沈没することさえ考えられる。
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