物価高の救世主「プライベートブランド」が、地方スーパーの再編を加速させる深いワケ小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ)

» 2025年03月31日 08時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

 物価の高騰に賃金が追い付かない状態が3年ほど続き、消費者の財布はかなり厳しくなってきた。そうした中で、われわれの主食、コメの高騰は財布にも痛く、心理的にもかなりダメージがある。

コメの高騰が続く(提供:ゲッティイメージズ)

 スーパーで販売されているコメ5キロの平均価格は4000円を超えており、2024年比で約2000円値上がりしている。特売で銘柄米が4000円を下回ると、すぐに売り切れる状況が続いており、大都市・地方を問わず供給がひっ迫している。

スーパーも物価高騰に見舞われている(提供:ゲッティイメージズ)

 青果でも、キャベツや白菜、レタスなどが天候不順により収穫量が確保できず、通常の数倍の値段になっている。まさに弱り目にたたり目となって、家計のやりくりはかなり苦しい。

 食品や生活必需品を供給するスーパーなどの現場でも、消費者の買い上げ点数が下がっていることに加え、値動きに敏感に反応した客足の変化が分かるため、価格転嫁もかなり難しくなっている。そのため、人件費や電気代などのコスト上昇をカバーできなくなってきた。

 上場スーパーの直近の決算を見ると、多くの企業が増収減益となっており、収益を確保していくことの難しさが浮き彫りになっている。消費者はこれまで以上にディスカウント系チェーンやドラッグストアの利用頻度を高めており、価格訴求型の業態が相対的に客数を増やしているようだ(図表1)。

【図表1】各社IR資料、日本スーパーマーケット協会「スーパーマーケット販売統計」より筆者作成

 そこで、いまスーパー各社が取り組んでいるのが、商品価格を安く提供しつつも収益を確保できる、プライベートブランド(以下、PB)商品の強化である。PBは物価高時代におけるスーパーの救世主となれるのか、PBの活用によりスーパーという業態がどのように変わるのかを考察したい。

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