この記事は、『はじめまして売れる『伝え方』のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒』(日野眞明著、三恵社)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
自己紹介とは何か。それは自分を他人に「瞬時に」知ってもらう手段です。
「瞬時に」というところがミソです。近所の友達や学校のクラスメイト、仕事や遊びの仲間なら、活動を通して少しずつ知ってもらうことができます。でも自己紹介はちがいます。会合やパーティの席上なら限られた時間内──―つまり瞬時に「私とは誰か」を知ってもらわなければならないからです。
それには事前に準備が必要です。
まずはその集まりにはどんな人たちが多く、何のために集まり、何に関心があり、何を心配しているのかをちゃんと把握しておかなければなりません。子どもが通う学校の保護者会で、いきなりゴルフのアベレージの話をしてはいけないし、ゴルフコンペの打上げで子育ての悩みを打ち明けてはいけないのです。
次に「私」の情報を整理しなければなりません。「私とは誰か」です。自分では自分のことを案外分かっていないものです。最後に整理した情報を表現する、短く分かりやすい言葉を見つけておかなければなりません。それらをこの集まりの中で生かすにはどうすればいいのか考えるのです。
この一連の準備が「お客様の立場に立つ」「お客様を知る」のトレーニングになります。
そして、ここが肝心なのですが、その集まりを有意義なものにしたい、参加したみなさんと幸せな時間を分かち合いたい、というように、他の参加者と集まりを好きにならなければいけません。自己紹介には「すばらしい機会を与えていただいて感謝しています」という気持ちを携えて臨まなければならないのです。
「本当は来たくなかった」 「代理で仕方なく来た」という人の自己紹介に誰が耳を傾けるでしょうか。好きになる心だって筋肉のようにトレーニングでポンプアップできるのです。
さて、この自己紹介がなぜ商売繁盛と結び付くのか。
例えば、みなさんのお店の前を、誰かが通りがかった場面を想像してみましょう。もし何のお店か分からなければ、その人は店の前を通り過ぎてしまいます。たとえその人はとてもお腹が空いており、みなさんのお店が食堂であったとしても、です。
また運よくお店に入ったとしても、何の工夫もないメニュー表ならどうでしょう。店主自慢の手打ちそばではなく、片手間に作っている親子丼を注文しても不思議ではありません。その結果「あそこの店はまずい」と悪い評判を立てられてしまうかもしれません。
SNS時代にあっては、これは致命傷です。
しかしこの場合、悪い評判を広めたお客さまに罪はありません。たまたまお腹が空いており、たまたま目についた店に入り、その時食べたかった親子丼を注文しただけなのですから。
非は全面的にお店側にあります。何がいけないか分かりますか?
お店もそばも、自己紹介していないのです。例えば「お店」の自己紹介。
例えば「そば」の自己紹介。
店構えもメニュー表も、私が何者かということを示しているのです。しかも中身が「瞬時」に伝わらなければなりません。これが自己紹介でなくて何でしょうか。
自己紹介トレーニングが有益なのは、お客さまへアピールする場面だけではありません。商売全体に好影響を与えてくれます。よい自己紹介を練りあげていく過程で、商売に必要な、
という3つのスキルに、磨きをかけることができるからです。応用分野は広告宣伝にとどまりません。販売から商品開発まで、商売に関するあらゆる局面で威力を発揮します。およそ商売繁盛に必要な能力を鍛えることができるのです。しかも簡単で手軽で誰にでもできます。
その結果、商売繁盛の果実がみなさんの手に落ちてくる。こんなにいいものがあるでしょうか、と自画自賛してしまいます。
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