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お客さまがこう言ってたんで――。こんな言葉が口癖になっている営業はいないだろうか?
まるで「顧客の言いなり」状態。無理な要求を受けたり、値下げをしすぎたり、社内の状況を考えずにオプションを付けまくったり……。これでは「またあの人が変な案件を持ってきたよ」と社内から反感を買うことになり、部門間の溝は深まってしまうだろう。
現在はコロナ禍によってリモートワークが進み、「他部署の人の顔を知らない」「人柄をよく知らない」というケースが増えている。問題はより深刻化しているかもしれない。
このような「言いなり営業」でいては、多方面に不幸をばらまいてしまうし、何より仕事が楽しくないのではないだろうか。
顧客の言いなりになってしまっている営業組織には、状況を打破する「リーダーシップ」が必要である。この記事では、顧客に流されず、顧客を握るトップ営業の在り方を解説する。
「お客さまは神様だ」「お客さまの言うことは絶対だ」と、思考停止している営業組織は実は多い。顧客第一主義にも良い悪いがある。読者の皆さんは、悪い顧客主義にとらわれすぎていないだろうか。
トップ営業は、顧客第一主義だからこそ、顧客に流されない。この大きな違いは、顧客の「握り力」だ。自社の取り組みをなぜ採用するべきなのか、どう価値貢献し、どう高いROIを実現するのかを、トップ営業はしっかり“握っている”。
顧客へのリターンとしてどのような価値貢献ができるか、営業が論理をしっかり握っていれば、思考停止で値下げをするようなことは起きないだろう。営業は交渉ごとなので、高い値段で売るのであれば、相応の価値を提供するべきだ。
逆に言えば、顧客に流されてなんとなく値下げをしたり、顧客が求めてないのに不要なオプションを付けたりというのは、思考停止営業。社内にも顧客にも顰蹙(ひんしゅく)を買うのは間違いないだろう。
営業活動の本質は、営業と顧客の共同作業である。顧客の悩みやニーズを営業が受け止め、それを解決できる手段を編み出す。取り組みの価値を言語化し、値段を付ける。顧客はそれを会社内に通していかなければならないので、費用対効果の蓋然性(がいぜんせい)を整理する。
この過程で営業と顧客はインタラクティブに対話を重ね、成功イメージを固めていく。トップ営業はこの握りが非常にうまい。顧客と細かく合意をとりながら、建設的な取引へ導いていく。
そして、ダメな営業は、顧客に振り回される。まず顧客の課題ヒアリングからちゃんとできていない。自社の製品のカタログを読み上げることに終始し、自社が顧客に提供する価値に向き合えていない。顧客に提供する価値を握れていないので、金額は値下げするしかない。
そうすると、苦労するのは案件に対応する社内のメンバーたちだ。営業が顧客と期待値やROIが握れていないので、そのすり合わせからやり直しになる。提供価値と価格が合っていないので、業務内容に無理も出てくる。顧客も、そもそも何でこの取引をしたかの意識が薄くなり、非協力的になっていく。
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