再び動き出した「地銀再編」で進む「二極化」 SBIも頼れない今、各行は何をすべきか(1/4 ページ)

» 2025年04月30日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役。横浜銀行勤務時代、全銀協へ出向した際はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。06年に支店長職をひと区切りに退社、現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーとともに情報通企業アナリストとして活動している。


 今にわかに、地方銀行(以下地銀)再編の動きが活発化しています。

 地銀上位行の群馬銀行と新潟の第四北越フィナンシャルグループ(FG)が経営統合に向け基本合意したとの報道をはじめ、同じく上位行である千葉銀行は同じ千葉県を経営地盤とする千葉興業銀行を傘下に収める検討を発表。また、有力地銀である静岡銀行、山梨中央銀行、長野の八十二銀行が包括業務提携を発表するなど、地銀再編の波が動き出した感があります。地銀経営を巡る環境にどのような変化があったのか、今後の課題はどこにあるのか、探ってみます。

動き始めた「地銀再編」の波を追う(出所:ゲッティイメージズ)

 思い起こせば2000年以降で地銀再編が最初に話題に上がったのは、2014年1月のことでした。地銀の頭取たちが集う地銀協新年例会の場で、金融庁の畑中龍太郎長官(当時)が「業務提携、経緯統合を経営課題として考えていただきたい」と異例の発言をしたことで、その幕が切って落とされたのでした。その後を継いだ森信親長官は、前例のない3期連続となる長官職への留任中に地銀へハッパをかけ、再編推進に努めました。

 森長官の在任中、多くの再編が進みました。2016年に金融庁が「手本づくり」として仕掛けたといわれる横浜銀行による東日本銀行の統合(コンコルディアFG)にはじまり、めぶきFG(常陽+足利)、トモニHD(徳島+香川+大正)、九州FG(肥後+鹿児島)、第四北越銀行(第四+北越)の誕生など、2019年までの3年間で実に9つの地銀経営統合が実現しているのです。

 2016年1月に日本銀行が導入したマイナス金利政策の影響もあったでしょう。従来の銀行のビジネスモデルでは稼げなくなると焦った地銀たちが、取りあえずスケールメリットを求めて統合に動いたとみられます。また、優良地銀からは「統合の流れに乗り遅れて近隣のお荷物地銀を押し付けられたくない」といった思惑も見え隠れしていました。

 このまま全国各地で地銀統合の動きが継続して、大きなうねりになるかと思われた矢先に起きたのが、コロナ禍の非常事態です。

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