ここまでの事例では、PDFで提出された提案書を評価していました。
ChatGPTの中ではこのPDFの中からテキスト部分を抽出し、それを評価の根拠としているのだと思いますが、実際のプロポーザル評価の現場では、画像や図解を含んだ提案書が提出されることもあるでしょう。この場合、適切に提案書を読み取って評価しているのかが不安です。
そこでChatGPTのマルチモーダル機能を使って、画像や図解を読み取って評価するようにしてみましょう。私が試した範囲で紹介します。
まず、プロジェクト内で次のようなプロンプトを投げました。
提案書のPDFファイルを画像形式に変換して、ページごとにプロジェクトファイルの中に保存してください。
これにより、ChatGPTがPDFファイルを画像形式に変換して、ページごとの画像ファイルにしてくれました。プロジェクトファイルとしての保存はできていなかったので、ひとまずこれらの画像ファイルをダウンロードしておきます。
プロジェクトの中で審査させたいページがある画像をアップロードして、先ほどの「可用性」の時と同じような評価をChatGPTに行わせます。
今回は別の審査項目(プロジェクト管理方法)でやってみます。
一次審査表から「プロジェクト管理」に関する審査項目を抜き出した上で、次の指示に従ってください。
アップロードした画像は、「プロジェクト管理」「品質管理」「コミュニケーション方法」について記載されたページの抜粋です。
この画像を読み取って、プロジェクト管理方法について、この評価観点を満たしているかを採点基準に従って評価してください。
もし満たしていない場合は、どのような記載があればよかったのかを併せて示してください。
ChatGPTは画像ファイルとなっている提案書を読み取り、審査項目に従って審査を行っています。
なお、私が試した範囲では、複数の画像をまとめてアップロードした場合や、画像形式のPDFをそのまま読み込ませて評価すると、適切に評価をしてもらえませんでした。今のところ画像の読み取りは単一ファイルに限られるようです。
この記事を書くために、画像ファイルの提案書を何度も読み込ませて、その評価内容を検証していましたが、気になった点があったので補足しておきます。
それは「画像の読まれ方にはバラツキがある」ということです。
考えてみれば当然の話なのかもしれませんが、画像や図解はそれを見る立場によっていろんな解釈ができるのです。
それはAIでも同じで、図の読まれ方で全く逆の解釈をされることもありました。つまり視覚に訴えかけるような提案書は期待している評価が得られるか予想できないのです。
もちろんAIだけで審査をすることはありませんが、AIにより審査を支援する仕組みが一般化してくるのならば、人間の審査員に対して誤った先入観を与える可能性もあります。
今後は図解がどのように解釈されるのかも考慮したうえで、文章による提案を組み合わせた提案書の作成が必要になってくるのかもしれませんね。
次回は「デジタル人材育成」をテーマにして、一緒に考えていきましょう。
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