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「雪塩さんど」大ヒットの舞台裏 調味料から菓子事業にかじを切った、その理由とは?地域経済の底力(3/5 ページ)

» 2025年05月21日 12時00分 公開
[伏見学ITmedia]

勝負をかけるはずだった2020年夏

 雪塩さんどは2018年の発売後、じわじわと人気を集めていった。当時は直営店のみでの販売だったが、気が付くとリピーターが増えていた。その頃の様子を、西里社長はこう語る。

 「発売直後は目立ちませんでしたが、感触は良かったんです。そして、ある時からぐんぐん伸びました。特にプロモーションしたわけでもないのに、リピート買いが好調でした」

 西里社長は、雪塩さんどの売れ方が、2005年に発売したヒット商品「雪塩ちんすこう」と似ていると感じていた。順調な滑り出しとなった雪塩さんどは、発売から約1年後には強い手応えを感じるまでに成長していた。

 そして2020年、大きな勝負に出ようとした矢先に、新型コロナウイルスの感染拡大が起きた。

「雪塩ちんすこう」

 「商品の売れ行きは好調だったので、2020年の夏に勝負をかけようとしたんです。ただ、ここで一気に攻めようと思った時に、コロナが……。大量の在庫を余らせて、大変な思いをしました」

 ECなどでさばこうとしたものの、限度があった。会社の業績も赤字に転落した。

 しかし、「良い商品なので、コロナが明ければ売れるだろう」と信じた。そして、コロナ禍を乗り切ったタイミングで、販売戦略を変えていった。

 「引き合いが増えてきたので、卸売りを始めました。2022年は、ドン・キホーテのような、大量に仕入れて専用コーナーを作ってくれる店舗で限定的に販売していましたが、2023年から本格的に販路を広げていきました」

 また、コロナ禍で塩の専門店をいくつか閉じるとともに、一部を業態転換した。その1つが2023年10月に開業した「雪塩さんど 国際通り本店」だ。この専門ショップの開設が、雪塩さんどの人気爆発のきっかけとなった。現在は宮古空港や石垣島にも雪塩さんどのショップを設けている。

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