ファミマはなぜ「服」を売るのか? コンビニ戦争で際立つ“ライフスタイル戦略”(6/6 ページ)

» 2025年05月22日 10時29分 公開
[金森努ITmedia]
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「生活インフラ」化を目指す、ファミマの次なる一手

 セブン-イレブンは食品強化、ローソンはヘルスケア志向と、それぞれがぶれない軸を持っている。一方、ファミマは「生活そのものを支える存在」になることを目指している。衣料はその序章にすぎない。今後は、家具のリースや家電のサブスク、さらにはメタバース試着サービスなど、リアルとデジタルを横断した“暮らしのOS”として進化できるかが焦点となるだろう。

 ファミマが服を売る理由は、「コンビニで買えるものの限界」を変えることで、生活者の時間価値を最大化することにある。食品や日用品で築いた信頼に「着る」が加わることで、ファミマは“最初に想起されるブランド”へと変わりつつある。

さまざまなデザインを展開し、コンビニで買えるものの限界を変える

 コンビニ戦争の次の主戦場は、もはや棚の奪い合いではない。「生活そのものを誰がプロデュースできるか」が問われている。

 入口のラックに掛かる衣料こそが、“棚を超えた戦い”の幕開けを告げるのろしなのかもしれない。

【お詫びと訂正:5月22日午前10時29分の初出で、商品の価格や各種施策について誤りがありました。5月22日午後2時、該当箇所を修正いたしました。お詫びして訂正いたします。】

金森努(かなもり・つとむ)

有限会社金森マーケティング事務所 マーケティングコンサルタント・講師

金沢工業大学KIT虎ノ門大学院、グロービス経営大学院大学の客員准教授を歴任。

2005年より青山学院大学経済学部非常勤講師。大学でマーケティングを学び、コールセンターに入社。数万件の「本当の顧客の生の声」に触れ、「この人はナゼこんなコトを聞いてくるんだろう」と消費者行動に興味を覚え、深くマーケティングに踏み込む。(日本消費者行動研究学会学術会員)。

コンサルティング会社・広告会社(電通ワンダーマン)を経て、2005年に独立。30年以上、マーケティングの“現場”で活動している「マーケティング職人」。マーケティングコンサルタントとして、B to B・Cを問わず、IT・通信、自動車・電機・食品・家庭用品メーカー、金融会社、生損保、自動車販売、EC等、幅広い業種に対応し、新規事業・新商品開発・販売計画・販売のテコ入れ案・コミュニケーションプランの策定等、幅広くマーケティング業務の支援を行っている。講師としても業種を問わず、年間100コマ以上の企業研修に登壇。コンサルティング経験を元に企業課題に合わせた研修のオリジナルのコンテンツやカリキュラムを提供。研修によってマーケティングを「知っている」だけではなく、「業務に生かせるようになること」にこだわっている。執筆は、「初めてでもマーケティングが楽しく体系的に学べる本」をテーマに10数冊刊行。「3訂版 図解よくわかるこれからのマーケティング」(同文舘出版)など。


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